赤羽(Akabane)
目次
カフェインは寝る6時間前に摂っても睡眠に悪影響がある!という実験結果
カフェインを寝る直前、3時間前、6時間前に摂ったら睡眠にどんな影響があるのか?という実験
2013年にアメリカのヘンリー・フォード病院が発表したRCT(#1)によると、カフェインは寝る6時間前でも睡眠に悪影響を及ぼすかもしれないことが分かりました。
この研究では、睡眠に異常がない12名(19-48歳、平均29歳)を対象に、4日分の夜の睡眠データをチェックする実験を行っていまして、その際に彼らを以下のパターンにランダムで振り分けました。
- 6時間前カフェイン: 就寝の6時間前に400mgのカフェインサプリを摂取する
- 3時間前カフェイン: 就寝の3時間前に400mgのカフェインサプリを摂取する
- 直前カフェイン: 就寝の直前に400mgのカフェインサプリを摂取する
*前夜のカフェインの効果を次回に持ち越さないように1日ずつ間隔を空けて実験を行った
実験のデザインはちょっと特殊でして、一日に3錠サプリを摂取するルールで、上記3つの時間帯のうち1回分だけランダムに振り分けられたカフェインを飲むという仕組みになっています。加えて、カフェインを一日通して一切取らないグループも比較用に用意されました。
Aさん…6時間前にカフェイン、残りはプラセボ錠
Bさん…3時間前にカフェイン、残りはプラセボ錠
Cさん…直前にカフェイン、残りはプラセボ錠
Dさん…3回全てプラセボ錠
実験中、参加者らはいつも通りの睡眠を心がけるように指示されていまして、睡眠は21:00~1:00、起床は6:00~9:00の間で済ませていたようです。また、睡眠リズムを崩さないために昼寝はしないように言われていたり、サプリを摂るタイミングになったらアラームが鳴るように設定されていたりと、かなり徹底されていました。
そして睡眠に関しては、毎朝つける睡眠日記や就寝時には睡眠ポリグラフ検査のためにヘッドバンドを装着して、睡眠の主観的・客観的なパラメータを測定していったようです。
すると実験の結果、こんなことが分かりました。
- 睡眠日記による主観的な睡眠記録では、就寝直前と3時間前のカフェインでプラセボよりも有意に睡眠時間が減少していたが、6時間前では有意な減少ではなかった(41分の減少)
- 睡眠ポリグラフ検査による客観的な睡眠記録では、どの時間帯のカフェイン摂取でも有意に睡眠時間が減少したが(-1.1~1.2時間)、入眠にかかる時間は増加したものの有意な差ではなかった(+17.2~24.1分)
- 中途覚醒の時間は3時間前と6時間前のカフェインでプラセボよりも有意に増加していたが(+8~27.6分)、直前では有意な差ではなかった
この結果をどう受け止めるかは人それぞれですが、統計的な有意差をさて置くと、6時間前のカフェインでも十分睡眠に悪影響が出ているのでは?と解釈できる結果かと個人的には思います。
より信頼できる睡眠ポリグラフ検査でも、睡眠時間は1時間程減っていますし、入眠までの時間も20分前後増えてしまっています。また、中途覚醒の時間も増え、睡眠効率もダウンしてしまっていました。これは快眠を目指す人にとっては由々しき事態だと言えましょう。
注意点・まとめ
ただし注意点として、以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズは小さい: 参加者数が少ない分、統計的なパワーは弱くなる
- サンプルに高齢者は含まれていない: 睡眠に問題を抱えやすい高齢者層にどこまで適用できる結果なのか分からない
参加者数の少なさがかなり目立ってしまっていますが、他の点では細かいところまで配慮された素晴らしい実験デザインだった印象です。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- カフェインは寝る6時間前に摂っても睡眠に悪影響がある!という実験結果
- 今回の実験では、就寝直前・3時間前・6時間前の3つの時間帯でカフェインを摂る実験を行ったところ、6時間前のカフェイン摂取でさえ主観的にも客観的にも睡眠時間が1時間ほど減少し、入眠までにかかる時間も20分前後増えてしまった
- 他にも、中途覚醒の時間が増えたり、睡眠効率が落ちたりという悪影響も確認された
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Drake C; Roehrs T; Shambroom J; Roth T. Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours before going to bed. J Clin Sleep Med 2013;9(11):1195-1200.