職場での暴力やいじめは睡眠の問題とどのくらい関係しているの?

職場での暴力やいじめは睡眠の問題とどのくらい関係しているの?

赤羽(Akabane)

今回は「職場内暴力やいじめと睡眠の質」についてのお話です。

職場での暴力やいじめは睡眠の問題とどのくらい関係しているの?

不安や苦痛などネガティブな感情を普段から抱えていると、夜も眠れないというのは何となく分かる話かと思います。ここでは、職場での暴力やいじめにフォーカスして、睡眠にどのくらい影響があるのか?を見ていきましょう。

職場での暴力やいじめに悩む人は睡眠の問題を抱えるリスクが2.5倍も高まる

これは2019年にサクロ・クオーレ・カトリック大学が発表したメタ分析(#1)で、34件の研究から119,361名を対象に、職場での暴力が睡眠の質にどう影響するのか?の結論をまとめたものです。

この研究では、対象の研究を一通りレビューした上で、全体の影響度をまとめるために質の高い7件の研究を取り出して効果の大きさをまとめています。

研究は15か国で行われていて、日本の研究も1件だけ含まれていました。暴力の聞き取り調査は、「過去に暴力があったか?」「どのくらいの頻度か?」といったその時点までの振り返りをするだけのタイプ(後ろ向き)もあれば、長期間参加者らを追いかけて、逐一まとまった期間で報告してもらうタイプ(前向き)もありました。

ちなみに「暴力やいじめ」というのは、具体的に肉体的なものから精神的なもの、性的なものも含まれたようです。

で一旦こうした研究をまとめたところ、次のような結果が分かりました。

結果
  • 職場での暴力やいじめを受けている人はそうでない人よりも睡眠に問題を抱えるリスクが2.5倍も高かった

まとめると、職場での暴力やいじめを受けている人は睡眠障害や「眠れない..」といった問題が起こるリスクが格段に高かったんですね。

具体的な問題を挙げると、眠れないというものから夜になると神経が興奮したり、痛みを感じたり、色々な問題がありました。共通しているのは、これら問題によって睡眠の質と量が確実に削られるということです。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、今回の研究で出た結果にはかなりのバラつきが見られました。職場の暴力やいじめが睡眠の問題に影響を与えるのは間違いなさそうですが、そういった出来事を思いだすタイミングが研究間で違っていたり、暴力やいじめの種類でも結果はかなり違ってくるのでは?と考えられます。

また毎度のことですが、今回含まれた研究はRCTではないので、因果関係を証明するものではありません。全体的に質の低い研究が多い点も押さえておくと良さそうです。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 職場での暴力やいじめを受けている人は睡眠に問題を抱えるリスクが2.5倍高かった
  • ただ結果にバラつきが大きくて、この差には暴力・いじめの種類やイベントを報告するタイミングの違い等が影響していると考えられる
  • 職場や学校など一日のうち長い時間を過ごす環境でのネガティブな出来事は睡眠に悪影響なのは間違いなさそう

こんな感じでしょうか。長い時間を過ごす職場での暴力やいじめは、特に壮絶なストレスになるので、これが体に炎症反応を起こしたり、自律神経を乱したりして悪さをする可能性が高いと思われます。

赤羽(Akabane)

近年特に言われるようになったセクハラやパワハラなども、下手をしたら受ける側の睡眠の質を著しく損なう原因になり兼ねません。この辺りの悪影響は是非押さえておきたいところです。

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参考文献&引用

#1 Magnavita N, Di Stasio E, Capitanelli I, et al. Sleep Problems and Workplace Violence: A Systematic Review and Meta-Analysis. Front Neurosci. 2019 Oct 1;13:997.