赤羽(Akabane)
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強力なキレート&抗酸化作用「グルタチオン」を増やすサプリ10選
グルタチオンとは、3種類のアミノ酸が合わさってできた物質で、体内のお掃除役を担ってくれています。抗酸化&キレート作用が高くて、酸化ストレスを打ち消したり、重金属や有害物質を排出してくれたり、アンチエイジングには欠かせない要素なんですね。
詳しくは記事最後のリンクをご覧いただくとして、一旦本題に移りましょう。
グルタチオンを増やすサプリ10選
グルタチオンはアンチエイジャーたちにもかなり注目されていて、その増やし方についても研究が進んでいます。
ここでは2019年にジョージア大学が発表したレビュー研究(#1)を参考に、サプリでの増やし方をザっと見ていきましょう。
1. ホエイプロテイン
まずは取っ付きやすい「ホエイプロテイン」から。何せホエイには非必須アミノ酸「システイン」が豊富で、これはグルタチオンの合成経路に特に欠かせない材料でしたね。
実際の研究でも、糖尿病や血糖値に異常がある患者でグルタチオンに関わる酵素を増やしてくれたり(#2)、HIV感染患者の血漿グルタチオンレベルを増やしてくれた(#3)という報告があります。
他の候補に比べればデータ量も豊富ですが、まだヒトを対象にした研究は少ないですね。健康な人でもどのくらい効果があるか?もハッキリしていないのが現状。

2. ビタミンB6(ピリドキシン)
お次はビタミンB群の中でも「B6」です。B群は総じて体内の代謝などをサポートする補酵素的な役割がありますが、中でもB6はホモシステインという物質を「システイン」へと変換する役割を担います。
実際に動物実験(#4)を中心に、重金属などで体内の酸化レベルが高いラットにビタミンB6を与えると、体内のグルタチオンが増加することが分かっています。
ただしビタミンB群のサプリは全般お勧めしていないので、摂るなら以下のような食事ということになりましょう。(妊婦さんの葉酸サプリは例外)
3. ビタミンC
抗酸化ビタミンACEの一角「ビタミンC」で、グルタチオンには酸化してしまったビタミンCやEをリサイクルするという効能もあって、実は密接に関係しています。
実際の研究では、健康な人を対象に、赤血球中のグルタチオンを増加させたり(#5)、ビタミンCが足りていない人で白血球中のグルタチオンを増やしたりする結果(#6)が得られています。
摂取量としては500mgから効果が見られていて、それ以上摂ってもあまり意味はないようです。ビタミンCが普段足りてないと思う方であれば、試してみてもいいかもしれません。
4. α-リポ酸
ダイエットサプリとして有名な「α-リポ酸」です。これは人体にも細胞内に存在していて、グルタチオンやビタミンC、ビタミンEといった抗酸化物質をリサイクルする効果(#7)が確認されています。
ただしα-リポ酸のグルタチオンへの影響については、現状見渡す限りほぼ「ラット実験」でしか検証されていません。今後の追試次第では有力候補に入れていいかも。
5. セレニウム
マイナーですが、甲状腺ホルモンの働きに欠かせないミネラルの一角「セレニウム」です。
セレニウムは「グルタチオンペルオキシダーゼ」という抗酸化酵素が、グルタチオンを材料に体内の酸化反応を鎮める際に必要な栄養素で、幾つかヒトを対象にした実証研究(#8 , #9)でも、グルタチオンを増やす成果が得られています。
ただし健康体のヒトではパッとしない結果(#10 , #11)に終わっていて、何らかの疾患のせいで体内の酸化レベルが高い人でないと大した効果はないのかもしれません。
ちなみにセレニウムは過剰摂取の害が大きくて、個人的にはサプリはお勧めできません。ビタミンB6同様に食事で満たすのがベターです。
6. マグネシウム
体中で起こるあらゆる酵素反応のサポート役でミネラルの一角「マグネシウム」です。
こちらも幾つかヒトを対象にした実証研究(#12)があって、例えば不妊や早期流産を経験した女性で、低かった赤血球中のグルタチオンペルオキシダーゼ濃度が4か月で正常に戻ったとの報告があります。
ただ健康な人で試した実験はあまりなくて、効果を発揮する目安量にもばらつきが見られます。セレニウムと同じく何らかの疾患で体が酸化している方でないと大した効果がないのかも。

7. メラトニン
「メラトニン」は睡眠リズムを作るホルモンですが、実はかなり強力な抗酸化物質でもあることは過去にも触れました。
実際にヒトを対象にした研究も幾つか出ていて、3名の子どもを対象にグルタチオンや関係する酵素が増加したり(#13)、摂取基準を超えた大量のメラトニンでグルタチオンが増えた(#14)という報告も上がっています。
摂取基準としては、0.5mg~5mgで少量からお試しいただくとよろしいかと思います。

8. N-アセチルシステイン(NAC)
この辺から急に難しそうな物質ですが、「NAC」はグルタチオンになる前の物質(前駆体)で、これを補給してあげれば体内でたくさんグルタチオンが出来るんじゃないの?という算段です。
実際にヒトを対象にした実証研究でも効果が確認されていて、HIV患者で8か月の長期間NACを飲んでもらったところ、血中のグルタチオンが増加していた(#15)ようです。
現時点でそこそこのエビデンスもあって、大きな副作用もなく比較的安全な部類です。健康な人だと効果があるかは分かりませんが、試してみる価値はあるのかなと思います。
9. S-アデノシルメチオニン(SAMe)
「SAMe」はトランススルフレーション経路という、最終的にシステインが出来上がるルートの前の形態(前駆体)です。肝臓が悪い人では特に少なくて、その分システインの生成も減るんでグルタチオンが減少します。
ヒトを対象にした研究(#16)では、健康な人だと体内のホモシステイン(システインが出来る途中の有害物質)を増やすことなく、グルタチオンが増えていたとの報告があります。
ただしこちらは動物実験での検証がほとんどで、まだ「よし、試してみよう!」とまではいかない印象ですが。

10. クルクミン
最後はカレー粉で有名なスパイス「ターメリック」に含まれる「クルクミン」です。
クルクミンは強力な抗酸化作用で知られていますが、どうやらグルタチオンの生合成を通してもその力を発揮してくれる(#17)ようです。
ただし、現状は生体外実験や動物実験が多いので実際に安定した効果が得られるか?は分かりません。それにクルクミンは体内での吸収&利用率も悪い(#18)と言われていて、この点も商品によって大きく左右されます。


まとめ
では最後に今回挙がったラインナップをザっとおさらいしておきましょう。
- ホエイプロテイン:試してみてもいいかも
- ビタミンB6:食事から摂ろう
- ビタミンC:試してみてもいいかも
- α-リポ酸:エビデンスが弱い
- セレニウム:食事から摂ろう
- マグネシウム:試してみてもいいかも
- メラトニン:試してみてもいいかも
- N-アセチルシステイン(NAC):試してみてもいいかも
- S-アデノシルメチオニン(SAMe):エビデンスが弱い
- クルクミン:試してみてもいいかも
他にもグルタチオンを増やすサプリはありますが、とりあえず現時点で有力そうなものをピックアップしました。ホエイやメラトニン、マグネシウム辺りは他にも得られる恩恵が大きいので、試してみても良いのかな?と思います。
赤羽(Akabane)



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参考文献&引用
#1 Rebecca L. Gould and Robert Pazdro. Impact of Supplementary Amino Acids, Micronutrients, and Overall Diet on Glutathione Homeostasis. Nutrients. 2019 May; 11(5): 1056.
#2 Flaim C, Kob M, Di Pierro AM, et al. Effects of a whey protein supplementation on oxidative stress, body composition and glucose metabolism among overweight people affected by diabetes mellitus or impaired fasting glucose: A pilot study. J Nutr Biochem. 2017 Dec;50:95-102.
#3 Micke P, Beeh KM, Buhl R. Effects of long-term supplementation with whey proteins on plasma glutathione levels of HIV-infected patients. Eur J Nutr. 2002 Feb;41(1):12-8.
#4 Anand SS. Pyridoxine attenuates chromium-induced oxidative stress in rat kidney. Basic Clin Pharmacol Toxicol. 2005 Jul; 97(1):58-60.
#5 Johnston CS, Meyer CG, Srilakshmi JC. Vitamin C elevates red blood cell glutathione in healthy adults. Am J Clin Nutr. 1993 Jul; 58(1):103-5.
#6 Lenton KJ, Sané AT, Therriault H, et al. Vitamin C augments lymphocyte glutathione in subjects with ascorbate deficiency. Am J Clin Nutr. 2003 Jan; 77(1):189-95.
#7 Palaniyappan Arivazhagan, Samuel Shila, Elango Narchonai, and Chinnakkannu Panneerselvam. α-Lipoic Acid Enhances Reduced Glutathione, Ascorbic Acid, and α-Tocopherol in Aged Rats. Journal of Anti-Aging MedicineVol. 5, No. 3.
#8 Sedighi O, Zargari M, Varshi G. Effect of selenium supplementation on glutathione peroxidase enzyme activity in patients with chronic kidney disease: a randomized clinical trial. Nephrourol Mon. 2014 May; 6(3):e17945.
#9 Zachara BA, Koterska D, Manitius J, et al. Selenium supplementation on plasma glutathione peroxidase activity in patients with end-stage chronic renal failure. Biol Trace Elem Res. 2004 Jan; 97(1):15-30.
#10 Wang YX, Kiem J. Effect of selenium supplementation on platelet selenium, glutathione peroxidase, and aggregation. Biol Trace Elem Res. 1988 Jan-Apr; 15():89-96.
#11 Nève J. Human selenium supplementation as assessed by changes in blood selenium concentration and glutathione peroxidase activity. J Trace Elem Med Biol. 1995 Jul; 9(2):65-73.
#12 Howard JM, Davies S, Hunnisett A. Red cell magnesium and glutathione peroxidase in infertile women–effects of oral supplementation with magnesium and selenium. Magnes Res. 1994 Mar; 7(1):49-57.
#13 Chahbouni M, López MDS, Molina-Carballo A, et al. Melatonin Treatment Reduces Oxidative Damage and Normalizes Plasma Pro-Inflammatory Cytokines in Patients Suffering from Charcot-Marie-Tooth Neuropathy: A Pilot Study in Three Children. Molecules. 2017 Oct 14;22(10). pii: E1728.
#14 Roberto C. Leonardo-Mendonça, Javier Ocaña-Wilhelmi, et al. The benefit of a supplement with the antioxidant melatonin on redox status and muscle damage in resistance-trained athletes. Appl Physiol Nutr Metab. 2017 Jul;42(7):700-707.
#15 De Rosa SC, Zaretsky MD, Dubs JG, Roederer M, et al. N-acetylcysteine replenishes glutathione in HIV infection. Eur J Clin Invest. 2000 Oct; 30(10):915-29.
#16 Thompson MA, Bauer BA, Loehrer LL, et al. Dietary supplement S-adenosyl-L-methionine (AdoMet) effects on plasma homocysteine levels in healthy human subjects: a double-blind, placebo-controlled, randomized clinical trial. J Altern Complement Med. 2009 May; 15(5):523-9.
#17 Biswas SK, McClure D, Jimenez LA, et al. Curcumin induces glutathione biosynthesis and inhibits NF-kappaB activation and interleukin-8 release in alveolar epithelial cells: mechanism of free radical scavenging activity. Antioxid Redox Signal. 2005 Jan-Feb;7(1-2):32-41.
#18 Toden, Shusuke; Goel, Ajay. The Holy Grail of Curcumin and its Efficacy in Various Diseases: Is Bioavailability Truly a Big Concern? Journal of Restorative Medicine, Volume 6, Number 1, 4 December 2017, pp. 27-36(10).