赤羽(Akabane)
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超高用量【10000IU】のビタミンDサプリは骨の健康に悪影響?むしろ骨密度を減らすし骨も強くならないみたい
ビタミンDと言えば、カルシウムの吸収を促進したり、骨の健康にかなり貢献してくれる栄養素です。となれば当然「サプリで補給しよう!」と考える人も少なくないはず。
ただ、その際は「用法用量」に気を付けたほうが良いかもしれません..。
飲み過ぎ注意!新しい摂取基準を更に超えた高用量ビタミンDサプリで骨に悪影響?!
2019年にカルガリー大学が発表したRCT(#1) では、311名の健康な高齢男女(平均62.2歳、骨の病気なし)を対象に、ビタミンDサプリの量で骨へのメリットはどう変わるのか?を調べていました。
具体的には、まず参加者らを次の3つのグループに分けたようです。
- 高用量グループ:毎日10000IUのビタミンDサプリ + カルシウムサプリを一日合計1200mgになるように飲む。
- 中用量グループ:毎日4000IUのビタミンDサプリ + カルシウムサプリを一日合計1200mgになるように飲む。
- 低用量グループ:毎日400IUのビタミンDサプリ + カルシウムサプリを一日合計1200mgになるように飲む。
ちなみにビタミンDの摂取基準は、日本では耐容上限量が4000IUとなっています。今回の高用量グループは、これを優に超えています。
でこうした実験をなんと3年間もの長期で行って、間に数回骨や尿の検査を入れつつ、最終的に287名がやり遂げたようです。(亡くなったわけではなく、脱落したという意味です)
そしてここから、次のような結果が分かりました。
- 高用量のビタミンDサプリで3年後橈骨の骨密度が3.5%低下していた(-7.5 mg HA/cm3; 95% CI -10.1 ~ -5.0)
- 高用量のビタミンDサプリで3年後脛骨の骨密度が1.7%低下していた(-4.1 mg HA/cm3; 95% CI -6.0 ~ -2.2)
- 骨の強度にはどのグループにも変化が見られなかった
まとめると、高用量のビタミンDを飲んだグループで最も骨密度が減っていたんですね。減少幅も量に比例していて、どうやら量が増えるごとによろしくないみたい。
一方で骨の強さも測定していたんですが、こちらはどの用量でも大した変化はなし。ひっくるめると、ビタミンDサプリを高用量で摂っても、骨の健康にはメリットがないどころか悪影響すら見られた、と。
まとめ
この研究は信頼性の高いRCTという研究デザインを採用しているし、その上3年間という長期間で調べていてなかなか参考になりそうです。
ただ強いて言えば、今回対象なのは高齢者だという点は注意ポイントでしょうか。若い年齢層では違う結果になるでしょうし、その辺りはごっちゃにならないように押さえておいたほうが良さそうです。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 4000~10000IUの高用量ビタミンDサプリは骨の健康に良くない
- 骨の強度にはそもそも効果がないし、骨密度は量が増えるごとに低下していた
- ビタミンDサプリも摂りすぎは禁物
こんな感じでしょうか。ビタミンDサプリはメリットの大きさから注目されていますが、どんなに良いモノでも用法容量には気をつけましょう!という当たり前の結論に辿りつきますね(笑)
赤羽(Akabane)
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#1 Burt LA, Billington EO, Rose MS, et al. Effect of High-Dose Vitamin D Supplementation on Volumetric Bone Density and Bone Strength A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2019 Aug 27;322(8):736-745.
#2 Paul J. Veugelers,Truong-Minh Pham,John Paul Ekwaru. Optimal Vitamin D Supplementation Doses that Minimize the Risk for Both Low and High Serum 25-Hydroxyvitamin D Concentrations in the General Population. Nutrients,Vol.7,No.12,pp10189-10208,2015.