【炭水化物+たんぱく質 vs. 炭水化物】運動のパフォーマンスを一時的に高めるのはどっち?

【炭水化物+たんぱく質 vs. 炭水化物】運動のパフォーマンスを一時的に高めるのはどっち?

赤羽(Akabane)

今回は「運動パフォーマンスを高めるための炭水化物とタンパク質の摂り方」についてのお話です。

運動のパフォーマンスを高めるのに炭水化物とたんぱく質はセットで摂った方がいいのか?

炭水化物とタンパク質はセットで摂るといいんだよ!炭水化物(糖質)がインスリンの分泌を高めてくれて、その影響でタンパク質が骨格筋に運ばれるんだ!

三大栄養素は、運動パフォーマンスを高めるのにはまず欠かせませんが、中でも炭水化物とタンパク質をセットで摂るべし!という上記のような話はよく聞くかと思います。

そこで、この記事では「炭水化物とタンパク質をセットで摂るのって、一時的に運動パフォーマンスを高めるのにも効果的なの?」というデータを見ていきます。

炭水化物とタンパク質はセットで摂ったほうがいいのか?メタ分析の結果

2020年にオーフス大学が発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、運動パフォーマンスを一時的に高めるには、炭水化物とタンパク質を併せて摂ったほうが効率が良いことが分かりました。

この研究は、30件のRCTやランダム化クロスオーバー試験などから326名分のデータをまとめて、以下のようなグループ間の比較から測定項目にどんな差が出るのか?を検証したものです。

グループ分け

  • 炭水化物+タンパク質: 炭水化物としては、ブドウ糖やマルトデキストリン、スクロースなど。タンパク質としてはホエイが大半、次いでチョコレートミルク、カゼインなどを摂取する
  • 炭水化物単体: 上記ラインナップの炭水化物のみ摂取する

測定項目

  • タイムトライアル(TT): 純粋な運動の記録
  • 疲労までの時間(TTE): 運動中に疲労を感じるまでの時間

*運動は1日のうちに2回に分けて行われ、初回の記録と比べて改善幅をチェック
*運動にはサイクリンクが大半、次いでランニング、マラソンが選ばれた

つまり、運動パフォーマンスを高めるのに、炭水化物とタンパク質はセットで摂るべきか?否か?という点をまとめているんですね。

すると上記の分析の結果、こんなことが分かりました。

結果
  • 炭水化物+タンパク質のグループは、炭水化物のみの場合と比べて、TTEとTTのパフォーマンスが有意に改善した(TTE…平均差: 3.62, CI: 0.44, 6.79, p = 0.03; TT…平均差: −1.50, CI: −2.37, −0.63, p = 0.0007)
  • 上記のTTEの改善効果は、グループ間でエネルギー総量を揃えた場合のみで分析すると、控えめになった(総量揃え…平均差: 1.27, CI: −4.73, 7.26, p = 0.68; バラバラ…平均差: 3.99, CI: 0.12, 7.87, p = 0.04)
  • 上記のTTEの改善効果は、運動後のリカバリー期間よりも運動中に栄養を摂取した方が高かった(運動中…平均差: 8.53, CI: 3.52, 13.53, p = 0.0008; リカバリー期…平均差: 1.55, CI: −3.06, 6.16, p = 0.51)

まとめると、炭水化物とタンパク質をセットで摂ることで、炭水化物単体よりも高い運動パフォーマンス改善効果があったようです。その事実以外にも、効果を高めるための摂取タイミングや休息期間の目安まで分かっていて、割と参考になる内容ですね。

また、リカバリー期間の長さ別に見てみると、TTEの改善効果は、1~2回目の運動の間に8時間以上の回復期間が置かれて、その間に栄養が摂取された場合で特に高かったことも分かりました。(逆にそれより短い場合では有意な効果が見られなかった様子)

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくとよろしいかと。

注意
  • サンプルサイズは小さめ: 一件一件の参加者数が少なく、その分統計的なパワーは落ちる
  • 一部エビデンスに乏しい結果がある: 運動後リカバリー8時間超の結果は、たった3件の検証実験しかないので、まだハッキリとしたことは言えない
  • 運動や栄養摂取の中身などが実験によってバラバラ: 運動の強度やインターバル、栄養の量や質などが実験によってまちまちで、具体的にどんな運動、どんな栄養補給をすればいいのか?というところまでは分からない

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 運動のパフォーマンスを一時的に高めるには、炭水化物とたんぱく質をセットで摂った方がいいみたいだ
  • 炭水化物単体よりも、炭水化物+たんぱく質のセットで摂った方が、運動の記録や疲労が蓄積する時間を改善することができた
  • 今回の分析の結果では、栄養摂取のタイミングは運動中がベターである可能性が示唆された

赤羽(Akabane)

炭水化物とたんぱく質の両方を同時に摂ることで、一時的に運動パフォーマンスが高まるかもしれません。炭水化物にはエネルギーにすぐ変換されるブドウ糖、たんぱく質源にはホエイプロテインが鉄板でしょうか。

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参考文献&引用

#1 Kloby Nielsen, L.L.; Tandrup Lambert, M.N.; Jeppesen, P.B. The Effect of Ingesting Carbohydrate and Proteins on Athletic Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Nutrients 2020, 12, 1483.