赤羽(Akabane)
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【うつ病編】不飽和脂肪酸オメガ3と6はそれぞれの摂取量よりも摂取比率が大事!という研究結果
オメガ3はフィッシュオイルを筆頭に脳や体の健康にいい油としてすっかり有名ですが、逆にオメガ6の方は体への影響がまだあまり着目されていないように思います。
ということでこの記事では、オメガ3や6の量・比率のメンタルヘルスへの影響を見てみましょう。
オメガ6の摂りすぎは体に炎症を起こしメンタルへの悪影響があり得るが..
2020年に青島大学が発表した研究(#1)によると、オメガ3や6といった不飽和脂肪酸のうつ病への影響は、それぞれの量ではなく比率が大きく関係している!という事でした。
この研究では2009~2016年の間に行われた健康調査データから、18歳以上の17,431名を対象に、オメガ3と6の摂取量・比率と調査期間内でのうつ病発症リスクの相関を調べていました。
参加者らの食事データは期間中2回集められて、その日の食事内容を報告するというものでした。またうつ症状レベルについては、その有効性が確認されている「PHQ‐9」という診断ツールでスクリーニングしたようです。
そしてこの調査の結果、こんなことが分かったようです。
- オメガ3の摂取量が最も多い群は、最も少ない群よりもうつ病発症リスクが29%低かった
- オメガ6の摂取量が最も多い群は、最も少ない群よりもうつ病発症リスクが28%低かった
- オメガ6 : オメガ3比率が最も高い群は、最も低い群よりもうつ病発症リスクが66%高かった
まとめると、うつ病の発症リスクにとって考慮すべきなのはオメガ3や6の絶対量よりも比率の方かもしれないよ、ということです。オメガ3が少ないのにオメガ6ばかり摂っていたらうつ病リスクが高まってしまうかもしれません。
オメガ3がメンタルにいいというのは従来の報告通りでしたが、意外なのがオメガ6でも摂取量が多い場合にうつ病発症リスクが低いという点。ただし、オメガ6は摂りすぎると炎症を起こしてメンタルには良くないと考えられているので、この辺の結果は慎重に考えた方が良さそうです。
注意点・まとめ
今回の注意点としては、この辺りは押さえておくとよろしいかと思います。
- 因果関係を特定する研究結果ではない:研究は横断研究なので、オメガ3や6以外にもうつ病リスクに影響を与える要素は他に沢山ある
- 食事の調査はたった2回:約8年におよぶ調査の中で食習慣が変わることもありえるのでこの点を補正するのに2回の調査は少ない
- 調査データの対象はアメリカのみ:国や文化によって食生活などの習慣は異なるので、他の地域でも同様の結果になるかは分からない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 不飽和脂肪酸のオメガ3やオメガ6は注目を集めていて、オメガ3は特に脳や体の健康にいい油としてメディアでも引っ張りだこ
- 今回のアメリカを舞台にした調査では、普段のオメガ6 : 3比率が高いとうつ病発症リスクが高まることが分かった
- オメガ3を増やしてオメガ6の量を減らすには、まず欧米スタイルの食文化を控えるべし(ファストフード類、加工食品etc..)
こんな感じでしょうか。オメガ6: オメガ3比率に関しては4:1くらいに抑えると良いでしょう。
赤羽(Akabane)
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#1 Ronghui Zhang, et al. Associations of n-3, n-6 Fatty Acids Intakes and n-6:n-3 Ratio with the Risk of Depressive Symptoms: NHANES 2009–2016. Nutrients. 2019 Jun; 11(6): 1232.