赤羽(Akabane)
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2020年最新研究!糖質制限ダイエットは心血管疾患リスク周りにどんな効果があるのか?
糖質制限は文字通り糖質からのカロリー摂取を全体の40%以下くらいまで制限する食事のことで、すぐに痩せられると評判であります。
ということでこの記事では、糖質制限ダイエットは心血管周りにはどんな影響があるのか?という問題にアプローチしてみましょう。
糖質制限ダイエットは短~中期的な心血管疾患リスク対策に効果的みたいだ
2020年にサウスウェスト医科大学が発表したメタ分析(#1)によると、糖質制限は短~中くらいの期間でみれば心血管疾患のリスクに効果的だ!という結論でした。
この研究では12件のRCTから1640名(31~65歳)を対象に、糖質制限ダイエットで心血管疾患のリスク因子をどれだけ抑えられるか?という臨床試験のみを総まとめしています。
各実験のデザインは、参加者をランダムで次のようなグループに分けて、それぞれで6ヵ月~最大2年間を過ごしてもらうというものでした。
- 糖質制限グループ(820名):一日のカロリー摂取の40%以下まで糖質を制限する(*35%が数件、4%という実験もあった)
- 比較グループ(820名):一日のカロリー摂取の45%~55%の糖質を摂る
こうした比較試験を年単位で行っている実験はあまりないので、今回の結果はなかなか参考になるかと思います。糖質制限の中には「超糖質制限ダイエット」のレベルに達しているものも数件あるようですね。
ちなみに心血管疾患リスク因子として今回計測されたのは、コレステロール値や血圧、血糖値等で、どれも心血管疾患リスクの大事な要素です。
では以上を踏まえて結果を見てみましょう。
糖質制限ダイエットは比較グループと比べて..
- 中性脂肪を有意に減少させた(0.15mmol/l, 95% CI -0.23 ~ -0.07)
- HDLを優位に増加させた(0.1mmol/l, 95%CI 0.08 ~0.12)
- 体重を有意に減少させた(-1.58kg, 95% CI -1.58 ~-0.75)
- LDLや総コレステロール、空腹時血糖値、上下の血圧には全体で見ると有意な減少は無かった
ここから言えるのは、糖質制限ダイエットは2年くらいまでの短~中期ならば心血管疾患リスクに多少は効果がありそう!ということです。
もう少し詳しく見てみると、こうした効果は年単位の中期よりも数か月の短期の方で高く報告されていた様子。例えば中性脂肪やHDLは短期の実験で効果が高かったようで、糖質制限ダイエットの効果は長期になる程先細りしていくかもしれないと考えられます。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、今回の分析は結果のバラつきが少々見られました。全体をまとめるとかなりのバラつき(75%)でしたが、統計的なパワーが弱い1件を取り除いたところ、この問題はかなり改善された(39%)ようです。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 糖質制限ダイエットは特に短期間でコレステロール値や中性脂肪あたりにメリットがあった
- ただし期間が長くなると効果は先細りしていった
- 3年以上の長期的なスパンではどんな結果になるのかわからない
こんな感じでしょうか。糖質制限は減量効果も先細りしてしまったり、長続きしないダイエットという印象が強いですね。やるなら短期間限定で!という感じになりそうです。
赤羽(Akabane)
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#1 Dong T, et al. The effects of low-carbohydrate diets on cardiovascular risk factors: A meta-analysis. PLoS ONE 15(1): e0225348.