赤羽(Akabane)
目次
日照時間が短い秋冬はBDNFレベルが低い
2012年のオランダのうつ症状調査を基にした研究(#1)によると、日光不足がBDNFレベルの低下を招くかもしれないようです。以下は研究概要になります。
- 総被験者数は2851人、不安症やうつ病のひとたち
- オランダの大規模な調査のデータを基にまとめた
- 生活習慣やBMI、抗うつ剤使用などの要素も調整された
- 被験者のBDNFレベルを季節ごとに計測した
ということでBDNFレベルが1年を通してどのように変化しているのかを調べたのですね。うつ傾向の人たちが対象である理由は、うつ病と血中BDNFレベルの低下に相関関係が見られたという研究(#2)が幾つも出ているからです。
そしてザっと結果を見ていくと、こんなことが分かりました。
- 日照時間の短い秋・冬には特にBDNFレベルが低下していた
- 運動習慣やBMIを調整してもこの変化に影響はなかった
- 性別やうつ病の有無、抗うつ剤の使用も影響なしだった
ということで季節によってBDNFレベルが変わるのは、どうやら日照時間の長さがカギとなりそうです。ちなみにこの結果は、BDNFレベルを大きく左右する「運動」など別の重要な要素もしっかり調整済みとのこと。
結論として、毎日十分な日光を浴びる重要性がまた一つ示されました。他の観点からも、日光を浴びると体はビタミンDを合成します。そして「ビタミンDサプリ追加摂取でうつ病が改善した」なんていうメタ分析があったり、「現代人は特にビタミンDが足りてない!」説も濃厚な昨今でありますし、この点でも有り余るメリットがあります。
赤羽(Akabane)
関連記事はこちらをどうぞ
ビタミンD摂取の最重要経路「日光浴」は窓ガラス越しでも効果があるのか?【ただしSPFに条件あり】日焼け止めは日光のビタミンD合成を邪魔しないらしい。【衝撃の事実】室内で働くインドアワーカーの9割はビタミンDが足りていない!【日光を浴びよう】参考文献&引用
#1 Marc L. Molendijk,Judith P.M. Haffmans,Boudewijn A.A. Bus, Philip Spinhoven,
Brenda W.J.H. Penninx,Jos Prickaerts, Richard C. Oude Voshaar, Bernet M. Elzinga,”Serum BDNF Concentrations Show Strong Seasonal Variation and Correlations with the Amount of Ambient Sunlight“,PLOS ONE,2012.
#2 吉村玲児「うつ病での脳由来神経栄養因子(BDNF)の血中動態」日本生物学的精神医学会誌、22巻、2号、2011年。