赤羽(Akabane)
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エクスプレッシブライティングとは
エクスプレッシブライティングと言えば、紙などに思考や感情を書き出してネガティブ感情と距離をとるメンタルテクニックのこと。手軽で紙とペンさえあればどこでもできるうえに、エクスプレッシブライティングで試験前の緊張と不安が和らぐといった研究もあったり。ザっと仕組みを書き出すと、
- 紙に思考と感情を書き出す
- 不安や緊張でキャパがない脳のワーキングメモリ(短期記憶)が整理される
- ワーキングメモリが機能して頭が回るようになる
といった流れ。とにかく文字として思っていることを吐き出してみる!というのが大事なポイントみたいですね。
不安や緊張を「紙」と「ペン」で解消!エクスプレッシブライティングとは?最短1日2分で効果がある?!
といったものの、エクスプレッシブライティングには何分やればOK!みたいなマジックナンバーはありません。一般には15~20分が推奨されるものの、個人差はあるかと。
そこで今回は、エクスプレッシブライティングの最短時間について面白い研究を紹介します。これは2008年にミズーリ大学が発表した研究(#1)。結論から言うと、エクスプレッシブライティングのメンタル面への効果は最短で1日2分で得られたようです。ザっと中身を覗いてみると、
- 心理学専攻の学生49人(男性:13人、女性:36人)を対象に
- 2日間一度ずつラボに迎えてエクスプレッシブライティングを2分間行う
- その後4~6週間追跡してネット、メールで主観的な健康の変化を報告してもらう
- 参加者は3つのグループに分けられる
・過去のトラウマなどについて書く
・ポジティブな経験について書く
・関係ないことを書く
こんな感じ。要はたった2分のライティングで、ちゃんとエクスプレッシブライティングをした場合とそうでない場合でメンタルの違いを測定したんですね。すると結果は、
- エクスプレッシブライティンググループでは主観的健康面(体調など)の不調が少なかった
- エクスプレッシブライティンググループはライティングをより有意義だと評価した
このように。エクスプレッシブライティングをしたグループでその後の体調の不調が少なかったということになります。
ただしサンプル数や研究方法で言うと今回の研究の質はいまいち。あくまで始める際の目安として押さえておくとよろしいかと思います。
ちなみに別のエクスプレッシブライティングに関するメタ分析(#2)では、15分を境に効果に大きな差がでたと報告されています。とはいっても、この研究結果も15分以上と以下の研究の数バランスが不釣り合いで大きな誤差が出ている可能性がありますが。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Chad M. Burton ,Laura A. King,”Effects of (very) brief writing on health: The two-minute miracle“,British Journal of Health Psychology,Vol.13,No.1,2008.
#2 Joanne Frattaroli,”Experimental Disclosure and Its Moderators: A Meta-Analysis“,Psychological Bulletin,Vol.132,No.6,pp823-865,2006.