赤羽(Akabane)
目次
筆記表現法(エクスプレッシブライティング)
筆記開示法とは、簡単に言うとネガティブなメンタル状態にとても効く!と科学的にもお墨付きが出ている方法(#1,#2)です。
もう少し具体的には、不安や緊張、イライラなどの負の感情を感じたら、それらの気持ちを紙に書き出せ!というものです。番組内では次のような方法をおススメしていました。
- 寝る前、紙にその日ストレスを感じたことを15分ほど思い出しながら書き出す
- 終わったら、その紙を丸めるなりビリビリに破くなりして捨てる
これだけ聞くと「本当にそんなので効果があるの?」と思われるかもしれません。そこで次は番組内で行われたちょっとした実験を見てみます。
番組での実験の例:ストレスが原因?夜中の中途覚醒に悩む主婦
今回は、旦那さんと暮らしているとある主婦の方が参加。どうやら夜中の中途覚醒に悩んでいる様子でした。この直接的な原因はわかっていないものの、普段の旦那さんの言動なんかに度々ストレスを募らせていると話していて、これが原因の一つかも!みたいなノリで実験は進んでいきました。
そこで「ストレス対策に定評があるヤツの出番だ!」ということで筆記表現法の効果が試されるわけです。この主婦の方には毎晩ストレスを感じた出来事を紙に書き出してもらい、夜中に中途覚醒がどのくらい起こるかを観察していきました。そして結果はどうなったかと言いますと、
- 中途覚醒の回数が減った
- 主観的なストレスも減って快眠できた
という感じに。この手の番組内の実験は、規模も実験デザインも微妙なんであまり参考になりませんが、筆記開示法自体は既に科学的なデータも豊富なのでメンタル改善効果はある程度見込めると考えていただいて大丈夫かと思います。
気になったこと
とは言うものの、個人的にではなく科学的に気になる点が幾つかありました。ザっと以下の通り。
- 最後に紙を丸めたりビリビリに破くべし!という部分
- 筆記表現法の書き方にはもっとメンタル改善効果が見込めるやり方がある(ジェネリック・ユー)
まず、「書いた紙をビリビリに破くと効果的だぞ」という報告をしている研究はあまり見たことがありません。
もう一つは、ただ紙にストレスを書き出すよりも効果的な書き方がありますよ、という点。2017年に発表された研究(#3)では、「ジェネリック・ユー」という方法を使って筆記表現法を行うと、普通に書き出すより効果が高まったことが分かりました。詳しくはリンクをご覧くださいませ。
赤羽(Akabane)
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# 『名医とつながる!たけしの家庭の医学』
https://sp.health.asahi.jp/archive_detail.php?id=20180612「2018年6月14日アクセス」
#1 Gerardo Ramirez, Sian L. Beilock,”Writing about Test Worries Boosts Exam Performance“,Science,Vol.331,pp211-213,2011.
#2 Kitty Klein,Adriel Boals”Expressive Writing Can Increase Working Memory Capacity“,Journal of Experimental Psychology,Vol.130,No.3,pp520-533,2001.
#3 Ariana Orvell, Ethan Kross, Susan A. Gelman,”How “you” makes meaning“,Science,Vol. 355, Issue 6331, pp. 1299-1302,2017.
#4 Briñol P, Gascó M, Petty RE, Horcajo J,”Treating thoughts as material objects can increase or decrease their impact on evaluation.“,Psychol Sci. 2013 Jan 1;24(1):41-7.