赤羽(Akabane)
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科学的に認められたメンタル調整法「エクスプレッシブライティング」
エクスプレッシブライティングは、紙に気持ちを書きなぐるだけで不安や緊張感が和らいでメンタルが落ち着くというメンタル改善法のことです。実際に不安を改善したりする効果も報告されていて、科学的にもしっかり結果が出ているテクニックであります。例えば、
〇トイレで不安や緊張感を紙に書き出してみる。
△「私ならできる!大丈夫!」とポジティブを装う。
こんな感じで、ネガティブな感情が湧いたときはとりあえずそれを書き出してみる!と。具体的な時間としては、一日15~20分が一般に推奨されています。が中には「一日たった2分で効果がでた!」と報告している研究もあったり。ここは個人差もあるので、まずは短い時間から試してみるとよろしいかと。
不安や緊張を「紙」と「ペン」で解消!エクスプレッシブライティングとは?「ジェネリック・ユー(Generic You)」とは
ではここからが本題です。出典は2017年にミシガン大学の教授らが発表した研究(#1)でして、「ジェネリック・ユー」というテクニックについて紹介してくれています。
ではまず「ジェネリック・ユー」とは何?という部分について。直訳では「一般的な”You”」となりますが、研究チームによると、
“You”は普遍的な一般論を語る際にも使われる。(例:”You win some, you lose some.”-勝つときもあれば、負ける時もある-) ここで我々は、この普遍的な言語表現、「ジェネリック・ユー」は人々が経験から何らかの意味を見出す時に重要な役割を果たすのではないかと考えている。[筆者訳]
簡単に言うと、英語で「あなた」の意味を持つ”You”のことですね。これが英語圏では、名言みたいな普遍的な言い回しをするときにも使われていて、エクスプレッシブライティングでは「I(わたしは)」の一人称で表現するよりも、名言っぽく「You(一般的には)」を使ったほうが良いのではないか?という主張です。
具体例を挙げると、例えば自分の仕事が上手くいっていない上司が八つ当たりして怒鳴ってきた時。
普通のエクスプレッシブライティング
赤羽(Akabane)
ジェネリック・ユーを使う
赤羽(Akabane)
案外やってみると難しいですね。こんな感じで、自分自身の体験、感情を一般論に昇華してしまおう!というのがこの「ジェネリック・ユー」です。
とここで気になるのが「実際に効果が出ているのか?」という点。実際に1つ実験を見てみると、ジェネリック・ユーを使ったエクスプレッシブライティング VS 普通のエクスプレッシブライティングで、参加者に過去のネガティブな体験について書き出してもらうものがありまして、この結果は、
- ジェネリック・ユーのエクスプレッシブライティングのほうが、体験から大いに得るものを見出した
- ネガティブな感情とは距離を置いてより冷静になれた
どうやら「ジェネリック・ユー」を使ったほうがエクスプレッシブライティングの効果が高かったみたい。この要因として、研究チームは次のように述べています。
ネガティブな体験を振り返る時、「ジェネリック・ユー」を使うことで、人々は彼らの体験を自身のものから普遍的なものへと拡大して捉えなおすことができた。これによって、彼らはネガティブな体験から客観的に意味を見出すことができるようになるのだ。[筆者訳]
いわゆる「メタ認知」が働いたということですね。つまり、自分のことを他人事のように“もう一人の僕”の視点から見つめることで冷静にネガティブ体験を見直すことができる、と。
赤羽(Akabane)
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#1 Ariana Orvell, Ethan Kross, Susan A. Gelman,”How “you” makes meaning“,Science,Vol. 355, Issue 6331, pp. 1299-1302,2017.