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カルシウムを摂れ!とすすめられるけど..
高齢者の死亡リスクをぐんと高める病気として骨粗しょう症が挙げられます。言わずもがな、カルシウムは骨の形成をする役割があるので、このリスクを避けるためにも毎日カルシウムをしっかり摂取することが推奨されています。
しかし毎日牛乳をたくさん飲むのは大変だからか、代わりにカルシウムサプリで代用する人も一定数いるようで。サプリは一気に必要量を摂取出来て楽なんですが、そこで気になるのは「一日どのくらい摂るべきなの?」という疑問。以下の表はカルシウムの一日摂取量の目安です。
(mg)男性/女性 | 推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 |
18~29歳 | 800 | 2500 | 650 | 2500 |
30~49歳 | 650 | 2500 | 650 | 2500 |
50~69歳 | 700 | 2500 | 650 | 2500 |
※健康長寿ネットより引用
ちなみにみんな大好きネイチャーメイドのカルシウムサプリには、一粒で300mgのカルシウムが含まれているようです。
[itemlink post_id=”22121″]カルシウム”サプリ”は効果なし、むしろ心臓疾患リスクを高めるとの結果が
ではここから本題へ。カルシウムサプリ問題に関しては、2010年のメタ分析(#1)が参考になりそうです。
結論から言うと、カルシウムサプリでのカルシウム補給は心臓疾患のリスクを高めるという驚きの結果が出ていました。中身をザっと覗いてみると、
- 15のランダム化比較試験(RCT)を選出
- 参加者数は135~5292人(平均年齢40歳以上)
- 追跡期間は2~4.1年間
- ほぼカルシウムサプリ単体のみ、ビタミンDとセットで摂るだけのものは除外
- 参加者を、カルシウムサプリ単体を一日406~1240mg摂るグループとプラセボグループ(何も摂らない)に分けた
こんな感じで全体的に研究の質は良さそう。カルシウムの一日の摂取量は、上で紹介した日本の摂取推奨量と耐容上限量にスッポリ収まるくらいの量ですね。
ちなみにビタミンDの調整が入念な理由は、ビタミンDがカルシウムの効果をサポートするから。今回はカルシウムサプリ単体の効果を見たいので、そこは除外したんですね。
では以上を踏まえて結果を見ていきましょう。
- カルシウムサプリグループは心筋梗塞リスクが31%高まった
- カルシウムの多量摂取によって心臓疾患リスクが高まるのは、サプリから摂った時のみ
どうやらカルシウムサプリは止めたほうが身のためみたい。考え得る原因は、サプリで一気に血中カルシウム濃度が高まってしまって、血管内で石灰化を引き起こしてしまうから。食べ物からであれば急激に摂取することはないでしょうし、心臓疾患のリスクも実際なかったようです。
ここまででカルシウムサプリは心臓に悪そうだということがわかりました。他にも「腎不全の患者でもカルシウムサプリで死亡リスク高まった!」とする報告もあったりして、とりあえずサプリでの摂取は考え直した方がよさそうです。
赤羽(Akabane)
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#1 Mark J Bolland,Alison Avenell,John A Baron,et al. Effect of calcium supplements on risk of myocardial infarction and cardiovascular events: meta-analysis. BMJ,Vol.341,2010.
#2 Block GA, Raggi P, Bellasi A, Kooienga L, Spiegel DM.Mortality effect of coronary calcification and phosphate binder choice in incident hemodialysis patients. Kidney Int,Vol.71,pp438-441,2007.
# 健康長寿ネット「カルシウムの働きと1日の摂取量」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-ca.html「2018年4月3日アクセス」