赤羽(Akabane)
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ノスタルジーが孤独によるネガティブな影響を和らげてくれるかもしれない
ノスタルジーは、日本語で「懐古/郷愁」と言った意味合いの言葉でして、学生時代を振り返って「懐かしいなぁ〜」と感傷に浸るあのフワフワした気持ちを指します。
ノスタルジーは、匂いや音などの手がかりから様々な状況でフッと沸き起こりますが、ストレス・困難に直面している時にも現実逃避的(?)に感じることがあるようです。ノスタルジーには全体的にポジティブな側面があるので、これは何となく頷ける話ですね。
「では孤独を感じている時、ノスタルジーに浸れば少しはネガティブな気持ちも和らぐのでは?」当記事ではこの仮説について、面白いデータを見ていきます。
ノスタルジーは孤独を晴らす大切な気持ち?
2020年にラトガーズ大学が発表した研究(#1)によると、ノスタルジックな感情に浸ることで、孤独によるネガティブな影響が和らぐことが分かったようです。詳しくは、ここから掘り下げていきます。
この研究では、大きく4つの実験を行っていまして、そのうち1つの実験をピックアップするとこんな感じです。
- 208名の大学生(平均20歳)が対象
- オンライン調査で以下の項目を聞き取りする
- 孤独度や、あらゆる場面でのノスタルジー度、社会的な自信レベルのアンケート調査にオンラインで回答してもらう
他の実験では、異なる年齢層で試していたり、人間関係における問題解決や積極性などへの効果もチェックしていました。
そしてこうした実験の結果をまとめると、ザッと以下のような感じになります。
- 孤独度が高いほど社会的な自己肯定感や自信、人間関係に対する積極性は低い傾向が見られた
- 一方で、同時にノスタルジー度合いも高いと、こうした孤独によるネガティブな影響は弱まった
要は、孤独感による社会性へのマイナスな影響は、ノスタルジーで軽減できる!という可能性を示唆しています。こうした効果は、孤独感が高い人でより強く見られたようです。
ノスタルジーが孤独感のマイナスを軽減するアプローチ
これらの結果を踏まえて、ノスタルジーが孤独感のマイナス要素を和らげる仕組みを挙げるとこんな感じになります。
- ノスタルジーは周囲の社会的なサポートをより身近に感じさせてくれる…ノスタルジックな記憶は大抵過去の人間関係の美しい面を見せてくれるから
- ノスタルジーは他人と関わることへのネガティブ思考を払拭してくれる…同じ理由で、人間関係に対するネガティブな考えを改めるきっかけになるから
- ノスタルジーは社会的な自信を持ち直させてくれる…同じ理由で、人と関わることへの自信が高まるから
どれも孤独感によって低下してしまいがちな要素ですが、こうした部分にノスタルジーな感情が介入してくれて、バッファーみたいな役割をしていると。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 今回の実験は全てオンライン調査: アンケート制で全てオンラインなので、データの正確性は低くなる
- 精神疾患を抱えて孤独感が高い人は含まれていない: 本格的に孤独をこじらせている人は対象外で、こうした人にもノスタルジーが効くかは分からない
- 因果関係は特定できない: 今回の実験デザインだと、ノスタルジー以外の何かが結果に影響している可能性を拭いきれない(調査していない他の性格特性など)
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- ノスタルジーが孤独によるマイナスな影響を緩和するバッファーの役割をしてくれるみたいだ
- 複数のオンライン調査をまとめた結果、高い孤独感は低い自己肯定感や自信、人間関係に対する積極性と関係していた
- しかし、こうしたマイナスな相関は、ノスタルジー度が高い人では弱くなっており、この結果が「ノスタルジーが孤独によるネガティブな影響を和らげるのではないか?」という可能性を示唆している
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Andrew A. Abeyta, Clay Routledge, and Samuel Kaslon. Combating Loneliness With Nostalgia: Nostalgic Feelings Attenuate Negative Thoughts and Motivations Associated With Loneliness. Front Psychol. 2020; 11: 1219.