赤羽(Akabane)
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実験期間5年!高齢者が健康長寿のためにやるべき最適なエクササイズとは?
1500名を超える高齢者に5年間運動を続けてもらう壮大な実験の結果…
2020年にノルウェー科学技術大学が発表したRCT(#1)によると、 5年間のスパンで見ると健康長寿に有効な運動はHIITかもしれないことがわかりました。
この研究では、1,567名(平均73歳)の高齢者を対象に、5年もの期間で比較実験を行っています。実験では、まず参加者をランダムで以下のようにグループ分けしていました。
- HIITグループ(400名): 週5回中2回をHIITセッションに充ててもらい、HIITは4分×4セットを最大心拍数の90%の強度で行う
- 中強度運動グループ(387名): 週5回中2回を中強度運動セッションに充ててもらい、運動は50分の有酸素運動を最大心拍数の70%の強度で行う
- コントロールグループ(780名): 特に運動指導はせず、各々で「毎日30分中程度の運動」というノルウェーのガイドラインに沿って運動を続けてもらう
*ボルグスケール(自覚的運動強度)で見ると、HIITは16、中強度の運動は13にあたり、それぞれ「キツい」「そこそこ息が上がる」に相当する
*6週間おきに専門家の運動指導を行い、運動ガイドラインをしっかり守っているか?を1,3,5年時点で調査した
この実験のすごいところは、その実験期間の長さです。観察研究などであれば、期間中の何回かデータを集めるだけでいいので、割と数十年単位でも追跡し続けることが可能ですが、参加者を細かくコントロールしながら絶えずデータを追い続ける比較実験では、費用も手間も莫大になるので、せいぜい1~2年というのが定石でした。そういう意味でも、かなり貴重なデータだといえましょう。
話は戻って、この実験では期間中の死亡リスクをチェックしていまして、心疾患やがんなど、その死因となる疾患まで細かくデータを集めています。
そして実験の結果、以下のようなことが分かったのです。
- 全体を分析すると、期間中の死亡リスクはグループ間で有意な差はなかった
- 個々のグループを比較して分析すると、HIITグループはコントロールグループよりも死亡リスクが37%低下、中強度運動グループと比べると49%低下していた(ただし統計的に有意差ではない)
全体を見渡すと、どのグループも大差なかったようですが、細かく分析するとHIITがやや優勢かも?ということが判明しました。
ただここで気になるのが、「どうしてコントロールグループでも運動グループと同じくらいの死亡リスクだったの?」という点。これについては、コントロールグループの人たちも各々でHIITと中強度の運動のちょうど間くらいの強度の運動を定期的に続けていたことが関係していそうです。つまり、どのグループも割と同じくらい運動していたと。
またHIITグループでは、5年後に体の健康に関するQoL(生活の質)が他グループよりも有意に向上していたようで、主観的にも健康にメリットがありそうです。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルに偏りがある: 参加者はノルウェーの一地域から集められており、人種や国籍にバリエーションはない
- 大半が健康な高齢者だった: 実験開始時点では、9割近くが深刻な病状などもなく健康的だと報告しており、基礎疾患を患っている人などを中心に検証したらリスクがまた違ってくるかもしれない
- グループ毎の運動基準があまり守られていない問題: HIITグループでは全体の半数ほどしか運動ガイドラインを守り続けられていなかったうえに、コントロールグループでも、国のガイドライン以上のキツい運動をしている人が結構いた
もしかすると、今回大きな差が出なかったのは、他の比較対象グループでもHIITと遜色ないくらい運動をしていたからかもしれませんね。グループ間で運動量や強度にもっと大きな差があれば、結果も大きく違ってくると考えられます。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 1500名を超える高齢者を5年間追跡した実験によると、早死にリスクに有効なのはHIITかもしれない
- 全体で見ると5年の死亡リスクに大差は無かったが、個々を比べると僅かにHIITで中強度の運動や国のガイドラインを守るグループよりも死亡リスクが低下していた
- 他にも、HIITには主観的な体の健康に関する生活の質を高める効果が確認された
赤羽(Akabane)
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#1 Stensvold Dorthe, Viken Hallgeir, Steinshamn Sigurd L, Dalen Håvard, Støylen Asbjørn, Loennechen Jan P et al. Effect of exercise training for five years on all cause mortality in older adults—the Generation 100 study: randomised controlled trial BMJ 2020; 371 :m3485