HMBサプリは若者の筋力アップや体型の改善に大して効果がなかったようだ

赤羽(Akabane)

今回は「筋トレの定番サプリ『HMB』がまたしても…?」というお話です。

HMBサプリは若者の筋力アップや体型の改善に大した効果がなかったようだ

HMBは「β-Hydroxy β-MethylButyrate(β‐ヒドロキシ‐β‐メチル酪酸、3-ヒドロキシイソ吉草酸)」の略で、必須アミノ酸の中でも特に筋肉の発達に重要な「ロイシン」が体内で代謝される途中の物質です。

HMBが筋トレで重宝される理由は、以下の記事で詳しく説明していますが、簡単に言うと「体内で代謝されるロイシンの5~10%程しかHMBにならない」というのがポイントですね。

というわけで、この記事ではHMBサプリの効果を改めて検証したデータを詳しく見ていきましょう。

2020年にマクマスター大学が発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、 HMBサプリは若者の筋力アップや体型の改善には大して効果がなかった！という結論になりました。

この研究は、11件の関連研究から302名(18~45歳、平均27歳)分のデータを対象に、筋トレをしつつHMBサプリを飲んだ場合の、以下の測定項目への効果を分析しています。

実験デザイン

そして上記の分析の結果、以下のようなことが分かりました。

結果

除脂肪体重や体脂肪、筋力の数値に関しては有意な差は見られなかった
体重だけはHMBサプリでわずかに増加が見られたが、こちらも有意な差ではなかった(HMB: 1.12 kg ± 1.89 kg vs. プラセボ: 0.78 kg ± 1.31 kg)

まとめると、HMBサプリは若い人たちの筋力アップや体型の改善に大して効果なし！という感じです。体重の増量にはわずかな効果があったものの、こちらも取るに足らないくらいの差であります。

この結果は、前回紹介した2018年のメタ分析(#2)とも一致する内容でして、前回よりも対象となる実験が増えたところで、依然結論は変わらなかった様子。

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意

含まれた多くの研究でHMBサプリ以外のものも同時摂取していた: 両グループで、ホエイプロテインやブドウ糖なども一緒に摂っていた分、純粋なHMBサプリの効果とは言い切れない
実験期間は相変わらず短い: 前回と大して変わらず、平均で8週間程度の期間しか見ていないので、長期の結果がどうなるか？は分からない
筋トレの内容がバラバラ: トレーニングのプログラムにバラつきがある分、どんなトレーニングをした時に今回のような結果になりやすいのか？といった具体的なところまでは分からない

特に「HMBと他のモノを一緒に摂っていた」というのは結構な問題でして、今回の結果が純粋なHMBサプリ単体の効果であるとは言えなくなってしまっています。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント

HMBは「β-Hydroxy β-MethylButyrate(β‐ヒドロキシ‐β‐メチル酪酸、3-ヒドロキシイソ吉草酸)」の略で、筋肉の合成に欠かせない必須アミノ酸「ロイシン」の代謝中間物
今回のメタ分析によると、HMBサプリで若者の筋力アップや体型の改善といった効果は確認されなかったようだ
ただし、HMBサプリ単体を検証した研究が少なかったり、トレーニング内容がバラバラだったり、現段階ではHMBサプリの正確な効果を検証する土台が整っていないようにも思われる

赤羽(Akabane)

現段階で、トレイニーが筋肉の発達効率を上げる目的でHMBサプリを飲むメリットは弱いなぁと感じます。一方で、高齢の方がフレイルなどを予防するのに飲む分には、ある程度効果が見込めそうですね。詳しくは以下もご覧ください。