赤羽(Akabane)
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過去最高級の論文研究で「エクスプレッシブライティングはうつ症状に効果なし」との結論が。
エクスプレッシブライティングは「紙にその日あったことや感情、思ったことなどを書き出していく」だけなんですが、これが思いのほかメンタルヘルスに好影響を与えてくれることが分かっているんですね。
「エクスプレッシブライティングはうつ症状改善に効果ナシ」というメタ分析が
しかし、そんなエクスプレッシブライティングの一部効果に疑問を呈するメタ分析(#1)が最近発表されました。
これは2018年に発表されたメタ分析で、39件のRCTから4009名の男女(平均27.9歳、女性74%)を対象に、64の比較からわかった効果をまとめたもの。過去最大級の研究ですね。
で実際の実験では、ライティングをするグループと比較グループ(何もしないor別の事をやる)でうつ症状レベルを比較するんですが、参加者は学生や精神面に問題を抱えた人(診断あり、うつ病など)でした。
ライティングセッションは平均17.5分を3.8回、2.6日間隔ごとに実施していて、終了後も追跡調査(第1回:平均6.4か月間、第2回:平均15.6か月間)をした模様。
すると次のようなことが分かりました。
- エクスプレッシブライティングは長期的に見てもうつ症状に効果なし!(効果量g=0.04)
しかも研究間で結果の誤差がかなり小さかったみたいで、つまりかなり信頼の置ける結論だということですね。ちなみに実験開始から最後の追跡終了まででみると効果量はちょっぴり上がったようですが、依然かなり小さい効果であります。(g=0.09)
ここまでで「なるほど、エクスプレッシブライティングはうつ症状には効かないのか..」ということがわかりました。がしかし更に研究を進めると、何とか効果が出るかもしれない!という条件が3つ見つかった模様。それらが次の3つです。
- ライティングセッションの数が多かった時(1回増えるごとに効果量g=0.03ずつアップ!)
- ライティングのテーマがより具体的だった時(効果量g = 0.1アップ)
- 参加者が高齢者or女性だった時(+1歳毎に効果量g=0.005アップ、女性の割合[1%↑]で効果量g=0.003アップ)
どうやらエクスプレッシブライティングでうつ症状を改善するにはそれなりに回数が必要みたい。内容に関して言うと、ぼんやりしたテーマを与えるよりも、書く内容に細かい指示があったほうが効果的だったようですね。性別の差に関してはよく原因がわかっておりません。
赤羽(Akabane)
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#1 Maren Reinhold ,Paul‐Christian Bürkner ,Heinz Holling,”Effects of expressive writing on depressive symptoms—A meta‐analysis“,Science and Practice Volume 25, Issue 1.