赤羽(Akabane)
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最新研究でわかったアルツハイマー病リスクを高めるかもしれない“寝る姿勢”
そもそも睡眠が認知症全般に大きく関わっているというのは有名な話で、例えば2016年のメタ分析(#1)では、睡眠に問題を抱えている人はそうでない人よりもアルツハイマー病や認知障害にかかるリスクが50%以上も高かったと報告されていたりします。睡眠は脳のアンチエイジングにも非常に大切だと分かりますね。
仰向け寝で神経変性疾患のリスクが4倍近く高かった?
というわけで、今回は寝る姿勢と認知症リスクについての面白い研究を共有します。
2019年にアメリカの睡眠や神経科学の専門教授らが発表した研究(#2)によると、仰向けの姿勢で寝ている人はアルツハイマーなどの神経変性疾患リスクがなんと4倍ちかく高かったことが分かりました。
まず、研究のデザインはザっとこんな感じです。
- 45名の神経変性疾患者* と年齢性別を合わせた120名の比較グループが対象
- 頭に装置を装着して寝ている体勢や睡眠ステージ(レム、ノンレム)、いびきなどを測定
- 寝ている時の体勢と認知症リスクの関係をメインに調べた
装置というのは黒いハチマキみたいなモノでして、額に何やら重そうな装置がついております。これを睡眠時につけて過ごしてもらった結果、以下のようなことがわかりました。
- 仰向け寝が一晩で2時間を超える割合が神経変性グループで3.7倍も高かった
- 年齢、性別、いびき、睡眠時無呼吸症候群といった他の影響を考慮しても、この傾向は変わらず見られた
こうした結果になるメカニズムについては、研究チームはこのように説明していました。
一つのあり得る説明としては、重力が脳の血流に影響を与えているという解釈があり、つまり寝ている間の頭の向きによって脳の老廃物の掃除効率が変わってくるかもしれないということだ。[筆者訳]
人間の脳では、寝ている間に「脳せき髄液」という物質が特に分泌されていて、これが脳のゴミ(アミロイド-β)を洗い流してくれるんですね。そしてこの働きが仰向け寝で妨げられているかもしれない、と。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Bubu OM1, Brannick M, Mortimer J, Umasabor-Bubu O, Sebastião YV, Wen Y, Schwartz S, Borenstein AR, Wu Y, Morgan D, Anderson WM,”Sleep, Cognitive impairment, and Alzheimer’s disease: A Systematic Review and Meta-Analysis“,Sleep, Volume 40, Issue 1, 1 January 2017.
#2 Levendowski DJ, Gamaldo C, St Louis EK, Ferini-Strambi L, Hamilton JM, Salat D, Westbrook PR, Berka C,”Head Position During Sleep: Potential Implications for Patients with Neurodegenerative Disease“,J Alzheimers Dis. 2019;67(2):631-638.