赤羽(Akabane)
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「運動が長続きしない..」そんな悩みもIF-THENプランニングで解決?
実行意図とは、習慣化したい行動や達成したい目標に繋がるアクションを具体的に【いつ、どこで、誰と、どのように】といった条件つきで設定するテクニックのこと。
例えばサッカーの練習を習慣化したければ、こんな感じで設定していきます。
そして、多く人が習慣にしたいけれどなかなかできないものと言えば「運動」になろうかと思いますが、この記事では「実行意図で運動習慣ってつきやすくなるの?」という点をデータを参考に見ていきましょう。
目標を確実に達成したいときに一番効果的な方法「If Then プランニング」とは?
実行意図は運動を続けるのにも効果的だが、ある条件が..というメタ分析
2018年にカンピーナス州立大学が発表したメタ分析(#1)によると、実行意図は運動習慣を定着させるのにもやっぱり効果的ではあるものの、効果を発揮するには「ある条件」が必要ということでした。
この研究は13件のRCTから2937名(20〜61.8歳)を対象に系統的レビューを行ってから、うち11件をメタ分析して実行意図の運動習慣化への効果を測定したものです。
研究によって実験期間の差は大きくて、2〜32週間までありました。このうち8割近くが延髄病変や糖尿病などの患者を対象にしていたようです。
そしてこうした実験の分析の結果、こんなことが分かりました。
- 全体で見ると実行意図を使用したグループはそうでないグループと比べて運動の習慣づけに有意な効果はなかった(効果量=0.15)
- しかし実験期間中にわたって定期的にプランニングの強化やケアを行った実験だけで見ると、実行意図で有意に小さい効果が確認された(効果量=0.25)
ここから言えるのは、実行意図は運動の習慣づけにもそこそこの効果がある!が定期的にプランニングは見直していかないと効果がないかも..ということ。習慣化が進んでいくにつれて状況も変わるだろうから、その都度しっかりプランニングを改善する意識が効果を高めるカギですよ、と。
この結果には私も「あれ、意外と効果小さいな..?」と思いました。というのも、2006年のIF-THENプランニングに関する有名なメタ分析(#2)では、94件の実験を分析したところ効果量=0.65という高い効果が出ていたから。こちらは色々なジャンルの目標達成をまとめたものですし、IF-THENプランニングの効果を検証したものなので、データとしては異なるものではありますが、比べると実行意図は運動の習慣づけにそれ程高い効果はないのかも?と考えられます。
注意点・まとめ
ただし、この研究にも注意点がいくつかあって、ザッとこの辺りは押さえておくと良さそうです。
- 運動習慣の判定はセルフレポート:全体的に加速度メーターなどの客観的データを使った研究はない
- セルフレポートの大半は有効性が認められていない:参加者らに運動の頻度や時間を聞き取りするだけ、といった簡単な調査だけの研究もあった
- 一部研究はサンプルサイズが小さい:含まれた参加者が数十名のみの研究もあって、統計的なパワーが弱い
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 科学的にも認められている目標達成テクニック「実行意図」
- 運動習慣をつけるのにも小さい効果は認められたが、プランニングは定期的に見直して強化していく必要がありそう
- 他のジャンルと比べると運動習慣づけ効果は案外低いのかも
こんな感じでしょうか。運動の習慣づけにも使えそうですが、プランニングの内容は週ごとや月ごとにでも見直して改善してく必要はありそうですね。
赤羽(Akabane)
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#1 Silva MAVD, São-João TM, Brizon VC, et al. Impact of implementation intentions on physical activity practice in adults: A systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials. PLoS One. 2018 Nov 14;13(11):e0206294.
#2 Peter M.Gollwitzer, Paschal Sheeran. Implementation Intentions and Goal Achievement : A Meta-Analysis of Effects and Processes. Advances in Experimental Social Psychology,Vol.38,pp69-119,2006.