「マインドフルネスで感覚が研ぎ澄まされた!」は単なる思い込みなのか?

2020年1月27日マインドフルネス, 認知と五感

「マインドフルネスで感覚の変化への意識が高まった!」は単なる思い込みなのか?

「マインドフルネスで感覚が研ぎ澄まされた!」は単なる思い込みなのか?

今回は「マインドフルネスの感覚への意識向上は客観的にも確認できるのか?」というお話です。
 
 
まずマインドフルネスですが、これは「今ココの意識」とよく言われている概念です。目の前の踏切が渡る前に鳴らないか?ご飯を食べながらラインが気になる!などなど..現代では特に目の前の出来事から気を逸らされることが多くなっていて、マインドフルネスともかけ離れてしまっています。
 
 
でこのマインドフルネス、実験の時は測定に自己診断テストを使うのが主流なわけですが、これだと「本当にマインドフルになっているのか?」「本人の主観的な気分も影響してしまうんでは?」といった疑問も残っていたんですね。
 

マインドフルネスによる感覚が研ぎ澄まされた感じは単なる思い込みなのか?メタ分析によると..

この問題を調べてくれたのが、2019年にカリフォルニア大学バークレー校が発表したメタ分析(#1)で、15件の研究から879名(平均38歳)を対象に、客観的な測定メジャーとマインドフルネスの感覚にはちゃんとした相関があるのか?を総まとめしたものです。
 
 
それぞれの研究の内訳は、長期間マインドフルネスの訓練をしてきた人を調査するケースや、マインドフルネスのレベルを自己診断で一回測るだけのケース、数分~9ヵ月くらいまでの短期間のRCTでマインドフルネスの特訓を行うケースの3パターンがありました。
 
 
客観的なメジャーには心拍にまつわる数値が最も多く含まれていました。他にも関節や皮膚、体に触れた感覚についての指標もあって、こうした体の一部位の変化に対して正確なジャッジが出来るのか?を見ていきました。
 
 
そして主観のマインドフルネス度と客観的な生理学的変化の関わり度合いを全体で分析した結果、こんなことが分かりました。

 

  • それぞれの主観的なマインドフルネスと客観的な生理学的変化には小さいながらも有意な相関が見られた(g= 0.21, 95% CI 0.08~0.34)

 

ここから言えるのは、主観的なマインドフルネスは客観的に見てもわずかながらもその兆候が表れる傾向が確認されたんですね。少なくとも、マインドフルネスの感覚への意識は当人たちの思い込みや気分によるものとは考えにくいと。しかもこの結果にはバラつきも小さかったようで、割と一貫した結果だと言えます。
 
 
では実験の内訳ごとに分けてみるとどうでしょうか?この場合、7件含まれていたRCTでのみ効果が確認されたようです。つまり、マインドフルネス度の聞き取り調査や、日頃から訓練を積んでいる人のマインドフルネス度は客観的な生理学的変化と関わりが見られなかったんですね。
 
 
ちなみに効果が小さかったことについては、そもそも伝統的なマインドフルネスでは全身をスキャンするように観察するのが主流なので、1つのパーツに特化して意識を集中させることが少ないからでは?と考えられています。これは、アスリートが自分の競技に特化した練習をしないとパフォーマンス自体が伸びにくいのと似ていますね。
 

注意点・まとめ

ただし幾つか注意点もあって、次のような点は押さえておくと良さそうです。

 

  • RCT以外の研究デザインは規模が小さかった:1回の聞き取り調査や、訓練を積んだ人への調査は少なくて、サンプルサイズも小さかった
  • 一部出版バイアスの恐れがある:たくさんの研究データを集めて分析するときに結果に都合の良いモノばかり含まれてしまうバイアスだが、今回は含まれていないデータで、効果をむしろ高めるものが残っている可能性が大

 

RCTでしか効果が確認できなかったのは、多分規模が小さかったせいもあるかと思います。また、他の含まれなかったデータもあわせると、効果はもう少し上がるかも?という可能性もあるみたい。
 
 
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

 

ポイント
  • 「マインドフルネスで感覚の変化への意識が高まった!
    」は客観的な生理学的変化に対する正確な判断ともわずかに相関が見られた
  • マインドフルネスで主観的に感覚が研ぎ澄まされたようになる感じは少なくとも当人たちの思い込みや気分によるものではなさそう
  • ただし今回使われた客観的な生理学的指標がそもそも適切なものだったのか?といった課題は残る
 

こんな感じでしょうか。マインドフルネスの訓練で自分の体の感覚への意識が研ぎ澄まされた感じがするのは分かりますが、生理学的な変化ともちゃんと関わりが確認できていて良かったですね。

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赤羽(Akabane)

マインドフルネスはすっかり最近のトレンドですが、その科学的な効能もそれに伴って分かってきていますので、興味のある方は以下もご覧いただくとよろしいかと思います。

マインドフルネスについてはこちらもどうぞ

参考文献&引用

#1 Treves IN, Tello LY, Davidson RJ, et al. The relationship between mindfulness and objective measures of body awareness: A meta-analysis. Sci Rep. 2019 Nov 22;9(1):17386.