赤羽(Akabane)
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夜寝る前の運動で睡眠の質を下げない為の「時間・運動強度別ルール」とは?
実はこの説について、2018年にチューリッヒ工科大学が発表したメタ分析(#1)では異論を唱える結論になっていました。
寝る前の運動は睡眠の質を下げない!ある条件下ならば…というメタ分析
この研究は過去23件の研究をまとめて、どのくらいの強度の運動を寝るどのくらい前にやったら睡眠に影響するの?を調べたもの。
で早速ですが、この結果を分かりやすく説明したインフォグラフィックがあるので、まずこちらをご覧ください。
ご覧のように、緑色に網がかった部分は睡眠に悪影響がない「安全ゾーン」で、赤い部分は睡眠に悪影響がある「注意ゾーン」です。
ぱっと見ても「注意ゾーン」がかなり小さいことが分かりますが、他にここから分かるのは、
- 寝る1時間前以内の高強度の運動はやっぱり睡眠の質を下げる
- 軽度〜中強度の運動は基本寝る前のどのタイミングでも睡眠の質を下げない
- 最低でも寝る2時間前までに済ませておけば、軽~高強度まで運動してもOK
このような知見です。これまでは「夜寝る前の運動は睡眠に悪影響だ」と一緒くたにしていたのが、今回の研究でより厳密にボーダーラインを引いてくれた感じですね。
また更に分かったこともあって、どうやら寝る前に軽度~中強度の運動をした被験者らは、全く運動をしないグループに比べて、なんとREM睡眠と徐波睡眠が増えたようです。これはつまり、睡眠の質が高まって体もより休まることを意味します。
まとめ
では最後に今回の内容をまとめます。
- 「夜寝る前の運動は睡眠の質が下がる!」は大雑把すぎる
- 厳密には軽~中強度の運動ならどの時間にやっても睡眠の質は下がらず、むしろ運動をしない場合よりも質を上げてくれるかも
- ただ高強度運動は寝る1時間前以内にやると睡眠の質を下げる
こんな感じでしょうか。日中仕事で忙しかったりすると、どうしても夜に運動をしなきゃいけないんで、この結果は有難いですね。
ちなみにここでいう「中強度」「高強度」というのは、
- 中強度:歌うのはキツイものの、辛うじて喋れるレベル
- 高強度:へとへとでまともに喋ることができないレベル
だそうです。なのでHIITや激しいジムトレ辺りは寝る1時間前以内にやるとアウトでしょうね。逆にウォーキングや軽いジョギング程度ならあまり気にしなくて大丈夫だと思います。
赤羽(Akabane)
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#1 Stutz J, Eiholzer R, Spengler CM. Effects of Evening Exercise on Sleep in Healthy Participants: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2019 Feb;49(2):269-287.