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35925もの関連研究を精査した信頼度の高い論文の結果・・
この研究(#1)では、16の電子データベースからまず35925もの論文が取り出されて、精査した結果23の関連論文が選ばれました。これらの内容を総合して結論を出すのですが、この研究方法はメタ分析(Meta-Analysis)と呼ばれ最も結果の信頼度が高いやり方です。まずはこの研究の大まかな概要を見ていきましょう。
- 23の論文から総計181006人の参加者、18歳以上、
- 人種の割合はヨーロッパ38%、北アメリカ33%、アジア25%、オーストラリア5%
- 男性のみ、女性のみ、男女混合あらゆる研究結果をまとめた
- 社会的疎外感、孤独、両方を合わせたものと病気のデータを調べたあらゆる論文の結果を総合
- 被験者の追跡期間は3~21年間
人種や性別、年齢などの交絡要素の干渉がしっかりされていて、信頼性はかなり高め。中には孤独や社会的疎外感を被験者にその場で直接聞くだけのものもあったようですが、全体的に言えばより客観的なデータも含まれているのでそこも問題なさそうです。結果は次のようになりました。
- 社会的交流が少ないと冠状動脈性心疾患のリスクが29%上がる
- 脳卒中などの発作のリスクは32%上がった
- 性別による発症リスクの違いは見られず
なんと孤独や社会的な疎外感は病気のリスクを高めることがわかりました。因みに、論文内で「孤独や人間関係に不満を抱えている人は早死にのリスクが高まる」ことを報告した最近の研究も併せて紹介されています。
孤独や社会的疎外感が体に悪い原因は・・?
今のところ示されている研究結果をひとまとめにすると、孤独な人は以下の傾向が見られたようです。
- 低い自尊心、積極的な問題解決に乗り出そうとしない傾向
- 低い自己肯定感
- 孤独や社会的な孤立は運動不足や喫煙率と相関がみられた
- 孤独感や社会的孤立は高血圧や免疫機能の異常と相関があるという研究報告
運動不足や高血圧、免疫システムの異常は当サイトでよく登場する「慢性炎症」に繋がり体をジワジワ蝕んでいきます。また、孤独な人によく見られたという低い自尊心は、暴飲暴食や喫煙に繋がったりとこれも非常によろしくないですね。
赤羽(Akabane)
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#1 Nicole K Valtorta, Mona Kanaan , Simon Gilbody , Sara Ronzi, Barbara Hanratty,”Lonliness and social isolation as risk factors for coronary heart disease and stroke: systematic review and meta-analysis of longitudinal observational studies“,Vol.102,pp1009-1016,2016.