赤羽(Akabane)
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万病のもと「慢性炎症」を地中海式ダイエットで撃退!
まずは慢性炎症について簡単におさらいしておくと、体内で起こる小火みたいなものです。ジワジワ私たちのHPを削っていきますが、厄介なのは症状がわかりにくいところ。そうしてずるずると引きずっていくと、結果として心臓疾患やがんなどの万病につながってしまうのですね。大げさな症状が出ないぶんたちが悪い…。
地中海式ダイエットが「慢性炎症」にガッツリ効く!
そんな慢性炎症ですが、原因のひとつとして乱れた食生活が挙げられています。加工食品やスナックなどをボリボリ食べて続けていくと、体内で炎症が発生しますし、そうして肥満になることでもやはり慢性的に炎症が起き続けてしまいます。
そこで科学的に最も健康効果が高い食事法「地中海式ダイエット」の出番です。これは南イタリアを中心としたヨーロッパの国々の食事スタイルを取り入れた食事健康法のことでして、現段階最も研究が進んでいる食事スタイル。
例えば、2017年にオーストラリア人を対象にした研究(#1)を見てみましょう。研究の概要は以下の通りです。
- 152人の男女(71歳前後)を対象に6か月間
- 体内の炎症具合はDII(食事の炎症指数)を使って測定
- オーストラリア人の平均DIIは「-0.10±1.71」
- 参加者は次のグループに分けられる
- 地中海式ダイエットグループ(80人)
- 普段通りの食事グループ(72人)
すると次のような結果になったようです。
- 地中海式ダイエットでDIIのスコアが改善した(2か月で-1.40±0.20,4か月で-1.47±0.20)
- 普段の食事では大してDIIは変わらず(2か月で0.47±0.21,4か月で0.54±0.21)
- 普段の食事グループは食べる量が95g減ったものの、乳製品や魚の摂取量も少し減っていた
きれいに差がでましたね。このDIIのスコアはマイナスに振り切れるほど良いので、地中海ダイエットで食事の炎症が抑えられたことになります。
こうした地中海式ダイエットの抗炎症作用は様々な研究で観測されておりまして、他にも2017年のバルセロナ医療病院で行われた研究(#2)なんかがあります。この研究でも病院の患者66人を次のように分けています。
- 地中海式ダイエット(エキストラバージンオリーブオイル多め:1ℓ/週)
- 地中海式ダイエット(ナッツ多め:30g/日)
- 低脂肪ダイエットグループ
地中海式ダイエットは比較的脂肪を多めにとるので、低脂肪ダイエットとの比較は良いデザインだと思います。そして3、5年で参加者らの血漿中の炎症マーカーを測った結果、地中海式ダイエットグループでIL-6, IL-8, MCP-1,MIP-1βなどの炎症マーカーが減ったようです。何やら難しい単語がズラリ並んでおりますが、つまりこいつらが体内で増えると炎症が起こるサインになるのですね。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Karen J Murphy, Kathryn A Dyer, Courtney R Davis, Richard Woodman, Nitin Shivappa, James Hebert, and Jonathan M Hodgson,”Adherence to a Mediterranean Diet (MedDiet) for 6 months improves dietary quality and dietary inflammatory index in a western population: results from the Mediterranean diet for cognition and cardiovascular health in the elderly (MedLey) study“,The FASEB Journal,Vol. 31, No. 1,2017.
#2 Casas R, Urpi-Sardà M, Sacanella E and more,”Anti-Inflammatory Effects of the Mediterranean Diet in the Early and Late Stages of Atheroma Plaque Development.“Mediators Inflamm,2017.