赤羽(Akabane)
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最強のストレス解消法「森へ行く」が効果絶大!バイオフィリアでリラックス&健康効果も。
まずはタイトルにもある「バイオフィリア」って何?という話から。これは簡単に言いますと、人間は本能的に慣れ親しんだ自然を愛しているんだとする説です。こうやって聞くと若干怪しいですが、実際に「森林浴はリラックス効果+健康にもいい!」という信頼性高めのメタ分析が出ていたりと、かなり堅い説であります。
森林浴が健康に良いことが確定した件。コンクリートジャングル民(=現代人)にとってのオアシス、それは「大自然」
そこで今回はストレス解消法のひとつとして、改めて「森へ行こう(自然と触れ合おう)」の素晴らしさを紹介したいと思います。このテーマについては2016年に発表されたメタ分析(#1)が最も参考になります。
この研究では、人間の感情について3つを1つのサイクルで表現しており、これらのバランスが健康にとって大事なんだと説いています。見やすい図は以下の通り。
図だけ見てもよくわからない!という方のためにざっくり説明しますと、以下のような様子になります。
- 「Drive」…前向きで活力みなぎるイメージ。何かをしたい欲求や欲しい気持ちが沸き上がります。英語で表すと「doing」の概念で、刺激を受けて何かを成し遂げたい、とする感情。ドーパミンが分泌されている時など。交感神経が優位。
- 「Contentment」…満ち足りた感覚。これは前のめりな「doing」というよりは「being」であり、’マインドフルネス‘の概念と近いでしょう。つまり今ここに在ることに意識を向けて、満足感や心のゆとりを感じるイメージですね。愛情ホルモンのオキシトシンと関係している。副交感神経が優位。
- 「Threat」…恐怖や不安など負の感情。アドレナリンやコルチゾールなどストレスホルモンがガンガン出ることで、血流の巡りや心拍数が強く高くなる。結果、体は覚醒して臨戦態勢に入る。
メタ分析の結果は…?
では最後に肝心の「バイオフィリア仮説」の検証をして締めくくりにしましょう。今回のメタ分析の結果、次のようなことがわかりました。
- 13の研究から総計871人のデータを調べたところ、自然は人間の副交感神経を優位にする大きなリラックス効果があった。逆に、都会は交感神経を逆なでして副交感神経による落ち着きが減ってしまう傾向が見られた。(効果量0.71)
この結果からわかることは、自然と触れ合うことで「Contentment」が高まる(=リラックスできる)という事ですね。逆に都会の暮らしは「Drive」と「Threat」ばかりになってしまう様子。都市部のあのせわしない感じをイメージするとわかりやすいかと。
ちなみに文末の効果量というのは、そのまま効果の高さと捉えていただいて問題ありません。大体効果量が0.7を超えれば効果絶大!といえるレベルになります。つまり今回のこの結果はかなり効果がデカいということ。
この他にも「大自然の中を数日ハイキングしたら創造性が50%アップしたぞ」という研究もあったり、母なる自然のパワーはすさまじいものだと言えそう。
ただし一つ問題もありまして、畏怖を通り越して自然に恐怖を感じてしまうバイオフォビアな方にはオススメできません。例えばクモ恐怖症は有名どころで、どうやら極稀にいらっしゃるようです。このタイプの方にとっては、大自然の中に身を置くのは多大なストレスになってしまい酷かと思いますね。
まとめ
赤羽(Akabane)
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#1 Richardson Miles,McEwan Kirsten, Maratos Frances A, Sheffield David ,”Joy and Calm: How an Evolutionary Functional Model of Affect Regulation Informs Positive Emotions in Nature“,Evolutionary Psychological Science,Volume 2, Issue 4, pp 308–320.