赤羽(Akabane)
目次
減量後にどうしてもリバウンドしてしまうのは代謝のせいではないかも?という研究結果
減量プログラムとその後2年間を追跡したダイエット実験の結果
2020年にノルウェー科学技術大学が発表した研究(#1)によると、減量後のリバウンドは代謝の低下が原因ではないかもよ?という可能性が出てきたようです。
この研究では、過去に行われた2つの減量プログラムから、太り気味な女性171名(平均35歳)のデータを集めています。各プログラムで、参加者は標準体型まで痩せるために食事制限や運動で減量に努めていました。ちなみにプログラムでは、開始前に4週間ほど参加者の体重を安定させる期間を用意しており、実験開始時点での体型や代謝を安定した状態でスタートさせる狙いがあったようです。
そしてプログラムが終わった後も、最長2年間は参加者を追跡していまして、各時点での体重や体脂肪などの体組成測定や、代謝適応のデータを集めています。
すると実験の結果、こんなことが分かりました。
- 参加者らはプログラム後、平均153 ± 53日で12kg ± 2.6kgの減量に成功し、その後1年で52% ± 38%、2年で89% ± 54%リバウンドしていた
- プログラム直後は確かに代謝が低下していたが、こうした適応はその後の体重のリバウンドとは相関が見られなかった(−54 ± 105 kcal/日)
- 実験を通してすべての時点でデータがある女性46名を特に見てみると、平均12 ± 3 kgの減量に成功し、その後1年で52% ± 36%、2年で83% ± 52%リバウンドしていた
まとめると、今回の実験でも「減量→リバウンド」の一連の流れがきれいに再現されました。そして減量後の代謝量は確かに減っていたようですが、この変化はその後2年かけて起こるリバウンドの予測因子にはならないことが判明しました。
また、減量プログラムから1・2年後の代謝適応は減量前とほぼ変わらないくらいまで戻っていたようです。ここから言えるのは、代謝適応はあくまで減量の波に応じて変化するということでして、必ずしもその後のリバウンドの要因ではないということ。現に最初の減量幅が大きい人ほど続くリバウンド率も軽減されていたみたいです。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 参加者は太り気味体型の女性のみで、男性や痩せている人などでどこまで一般化できるかはわからない
- 年数の経過に伴い脱落率が増えており、終盤のデータは少なくなっている
ザックリ言えば、データが十分でなくその範囲も限定的という感じでしょうか。単一の実験ではよく見られる課題ですね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 平均5か月ほどの減量プログラムの結果、参加者女性らは平均12kg程痩せたが、その後1・2年でほとんど元に戻ってしまっていた
- 代謝の適応はプログラム直後に見られ、エネルギー支出が一日あたり50kcalほど低下していたが、こうした変化はその後の体重のリバウンドを予測するほどではなかった
- 代謝適応はあくまで減量の波に応じて変化しているだけで、必ずしもその後のリバウンドの要因ではない可能性が示唆された
赤羽(Akabane)
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#1 Catia Martins, Barbara A Gower, James O Hill, Gary R Hunter, Metabolic adaptation is not a major barrier to weight-loss maintenance, The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 112, Issue 3, September 2020, Pages 558–565, https://doi.org/10.1093/ajcn/nqaa086