マインドフルネスが青少年の認知機能やメンタルヘルスを改善するようだ

マインドフルネスが青少年の認知機能やメンタルヘルスを改善するようだ

赤羽(Akabane)

今回は「マインドフルネスは青少年の認知やメンタルにも効果的?」というお話です。

マインドフルネスが青少年の認知機能やメンタルヘルスを改善するようだ

マインドフルネスといえば、「今ココの意識」として有名な概念でして、周囲の雑多なモノに注意を奪われやすい現代では特に重要だと言われています。

詳しくは以下で解説しています。この記事では、マインドフルネスが青少年の認知機能やメンタル改善にも役立つかも?というデータを見ていきます。
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マインドフルネスの青少年への効果をまとめたメタ分析

2019年にケンブリッジ大学やオックスフォード大学が発表したメタ分析(#1)によると、マインドフルネスベースドの介入によって青少年の認知機能やメンタルがやや改善することが分かったようです。

この研究は、33件のRCTから3,666名の青少年(~18歳)を対象に、以下のようなグループ分けでマインドフルネスの効果を検証したものです。

  • マインドフルネスグループ: MBSR(マインドフルネスストレス低減法)のように、経験を積んだ指導者の下、マインドフルネスを鍛えるセッションを複数回行う
  • コントロールグループ: 何もしない(パッシブコントロール)、社会性を高めるプログラムや健康増進プログラム、ハッツァヨガなど(アクティブコントロール)

比較項目は、大きく①認知(注意力、実行機能)、②行動(社会的に不適合な振る舞いなど)、③感情(不安、鬱症状、ストレス)の3つに分類されました。

今までのマインドフルネス系メタ分析では、エビデンスのゴールドスタンダードであるRCTをまとめたものが少なかったので、今回のは幾分参考になるデータだと言えましょう。

そして上記の分析結果は、ザッとこんな感じでした。

結果
  • 何もしないグループと比べた場合、マインドフルネスグループでは全体の項目に対して小程度の効果があった(d = 0.19; 95%CI: 0.14 – 0.23)
  • アクティブなグループと比べた場合、有意な効果が見られたのはマインドフルネス度やうつ症状、不安&ストレスだけに留まった

*「d = 」は効果量を表していて、直感的に効果の大きさを示している

ここから言えるのは、青少年を対象にしたマインドフルネスベースドの介入には、認知やメンタルに一定の効果が見込める!ということ。

ちなみに、何もしないグループと比べた場合では、実行機能の改善で最大の効果(d = 0.30; 95%CI: 0.12-0.49)が、アクティブなグループと比べた場合では、うつ症状の改善で最大(d = 0.47; 95%CI: 0.22-0.72)となっていました。

また年齢による効果の差を分析すると、実行機能の改善に関して、上級生ほど高い効果が得られることが判明しました。これは、丁度14〜18歳くらいでマインドフルネスの特訓を行うことで、自省や他者視点取得といった高度な認知機能の獲得がしやすくなるからでは?と考えられています。この時期にはきっと脳の学習能力も柔軟になっていることですし、もっともな話だとは思います。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ざっと以下の点は抑えておくと宜しいかと。

注意
  • 結果にばらつきが大きく見られる: マインドフルネス研究では定番の悩みで、各研究チームが独自にアレンジしたマインドフルネス介入を行ったりするため、より一層まとまりがなくなってしまう
  • 一部の結果で出版バイアスの恐れがある: 社会的に不適合な振る舞いや、不安、ストレスといった項目では、使われた実験の内容が未出版の論文と比べて内容が異なっており、効果が大袈裟に出ている可能性がある

*出版バイアス…研究者らにとって都合の良い結果が出た研究ばかりが発表されてしまうこと

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • マインドフルネスをベースにした介入法によって、青少年のマインドフルネスが高まり、認知機能やメンタルが改善した
  • こうした結果は、他の有効な介入法と比較すると、うつ症状や不安&ストレスなどメンタル面への効果でのみ有意性が見られた
  • 若くて脳が柔軟なうちから、マインドフルネスを教育として取り入れると色々と良さそうだ

赤羽(Akabane)

マインドフルネス研究の最大の課題として、「実験デザインやマインドフルネス介入法のバラツキ」というのは残りますが、徐々に質の高い研究が増えてきている印象です。興味のある方は以下の記事も役に立つかと思います!

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参考文献&引用

#1 Dunning DL, Griffiths K, Kuyken W, et al. Research Review: The effects of mindfulness-based interventions on cognition and mental health in children and adolescents – a meta-analysis of randomized controlled trials. J Child Psychol Psychiatry. 2019;60(3):244-258. doi:10.1111/jcpp.12980