大自然のリラックス効果はバーチャルでも得られるのか?

2019年10月15日バイオフィリア, 認知と五感

森林浴のリラックス効果、健康効果はほぼ実証されている

Hans / Pixabay

「森林浴」の健康効果やリラックス効果は色々な論文研究で実証されています。例えば大きなメタ分析では「森林浴で心拍数が落ち着いて上と下両方の血圧が下がったよ!」という結果がでています。これはバイオフィリアの考え方とも一致しますね。


 

 

風景がそれぞれ違う映像でリラックス度、気持ちの変化をみる実験

そして人の心身に恩恵をもたらす大自然の力はバーチャルを通してでも効き目があるのか?と考える研究者は少なくなかったみたいです。そのいい例が2017年に発表された研究(#1)です。研究は以下の工程で行われました。
 

  • オーストラリアの市民220人が対象
  • 18~75歳の男女
  • 2~3分の映像を見せたあとにポジティブ/ネガティブ度や精神的な回復度を調べるアンケートをやってもらう
  • 以下のようなグループに分けられる
  1. 熱帯雨林など、森がコンセプトの大自然映像
  2. 都会の公園や庭園など、建物や道路も見える映像
  3. コンクリートや車が走ってる道路がメインの風景映像

 
オーストラリアは国土の大半が壮大な大自然に囲まれているので、この手の実験にはうってつけだったのでしょうか。映像に映ってるのもオーストラリアの風景みたいでしたし。結果は次のようになりました。

 

  • 大自然の映像グループは特にポジティブ度が高くなった
  • 都会の公園とコンクリートグループ間でポジティブ度に違いはなかった
  • 大自然、都会の公園グループはネガティブ度が低かった
  • 大自然、都会の公園グループはメンタル的な回復度も良かった

 

ということで一位は大自然の風景グループでした!やはり母なる大自然は偉大ですね。次点で都会の公園、効果がなかったのはコンクリートジャングルのグループでした。結果の信憑性については、実験開始の時点での各々の参加者のポジティブ/ネガティブ度は測定してなかったり、この研究だけでは心もとないですが、1991年に行われた研究(#2)でも同様の結果が出ています。
 

  • 120人の学生が対象
  • まず木工所で起こった酷い事故の映像を見せる
  • 精神性発汗、心拍数、血圧などから、参加者の学生らが苦痛を感じているのを観測
  • 参加者は以下のグループに分かれる
  1. 自然の風景の映像を10分観るグループ
  2. 都会の風景(道路や車、ショッピングモール)を10分観るグループ

 
すると、こんな結果になったようです。

 

  • 自然の映像グループは5分ほどで脳が平常に戻った
  • 都会の映像グループは10分経過してもちょっとしか脳が落ち着かなかった

 

この大自然のリラックス結果をあわせると、大自然の恵みは視覚からでも得られそうだと考えられます。ストレスにさらされた人の精神までも回復させてくれる大自然、素敵です。もっとも、「森林浴の健康効果はあの独特の匂いのもとのフィトンチッドていう成分のおかげだよ」と主張する論文も数多あって、視覚、聴覚、嗅覚、あらゆる効果が合わさって大自然の健康効果が発揮されているのだろうと考えられます。

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赤羽(Akabane)

ということで、普段から忙しくてなかなか自然と触れ合う時間が取れない方には朗報でした。都会にいながら自然の恩恵を受けるには、自然の写真×自然音アプリの組み合わせがベストでしょう。休憩時間などにぜひお試しあれ。

 

参考文献&引用

#1 Elizabeth McAllister, Navjot Bhullar,Nicola S. Schutte,”Into the Woods or a Stroll in the Park: How Virtual Contact with Nature Impacts Positive and Negative Affect“,Int J Environ Res Public Health,Vol.14,No.7,2017.

#2 Roger S.Ulrich,Robert F.Simons,Barbara D.Losito, Evelyn Fiorito,Mark A.Miles,Michael Zelson,”Stress recovery during exposure to natural and urban environments“,Journal of Environmental Psychology,Vol.11,No.3,pp201-230,1991.