赤羽(Akabane)
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「あそこはもっと..こうだ!」独り言はスポーツや学習のパフォーマンスを高めてくれるのか?
まずこの独り言ですが「セルフトーク」と呼ばれていて、スポーツ心理学なんかでも1980年代くらいから取り上げられてるテーマです。でここからはその総まとめ的な研究を見ていきましょう。
「私ならできる..!」「ここはもっとこうした方が..」セルフトークってスポーツのパフォーマンス向上に効果ある?
これは2011年にテッサリア大学が発表したメタ分析(#1)で、32件の研究から2741名を対象に、【スポーツの能力アップ、学習、スキル習得などにセルフトークは効果あり?】という問題を調べたもの。
細かい部分の分析は後で触れるとして、一旦全体の結果から見ていきましょう。
- セルフトークのパフォーマンス向上効果は中くらいだった(効果量d⁺ = .48; 95%CI .38 ~.58)
どうやらセルフトーク全体で、まずポジティブな結果が得られたよう。ひとまずは「私ならできる..!」「ここはもっとこうした方が..」どんなタイプのセルフトークでも大丈夫みたいですね。
ではここから、もう少し詳しく見てみましょう。
- 負荷が大きすぎるタスクより、程よいレベルのタスクをこなすのに効果が高かった(d⁺ = 0.26 vs. d⁺ = 0.67)
- 負荷が大きいタスクには動機づけ型セルフトークが効果的だった
- 程よいレベルのタスクには指示型セルフトークが効果的だった
こんな傾向も見られたようです。つまりパフォーマンスを上げたいタスクやスキルによって使うべきセルフトークが違うかもしれない、と。
ちなみに動機づけ型セルフトークが「私ならできる…!」みたいに自分を鼓舞するタイプで、指示型セルフトークは「あそこはもっとこうした方が..」とパフォーマンスを客観的に分析するタイプです。キツいトレーニングでは松岡修造さんタイプが向いていて、フォーム確認などの練習には分析をするような独り言が向いているようですね!
注意点・まとめ
ただ注意点もあって、上で今見た細かい部分の調査では、サンプル数が軒並み少なかったようです。つまり、ここから得られた効果は精度が低い可能性があるんですね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 自分に言い聞かせる「セルフトーク」は全般的にまあまあスポーツや学習のパフォーマンスを上げてくれそう
- 困難なタスクには「動機づけ型」、程よいタスクには「指示型」みたいに状況に応じて最適なタイプが変わるかも
- 細かい部分の分析はまだ精度が高くない
こんな感じでしょうか。状況に応じた種類や適性は参考程度に、セルフトーク自体は結構役に立つんじゃなかろうか?と思います。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Hatzigeorgiadis A, Zourbanos N, Galanis E, Theodorakis Y. Self-Talk and Sports Performance: A Meta-Analysis. Perspect Psychol Sci. 2011 Jul;6(4):348-56.