カフェインに似た物質「テアクリン」で筋トレの効率はアップするのか?

カフェインに似た物質「テアクリン」で筋トレの効率はアップするのか?

赤羽(Akabane)

今回は「カフェインに似ている物質『テアクリン』ってどうなの?」というお話です。

カフェインに似た物質「テアクリン」で筋トレの効率はアップするのか?

「テアクリン(TeaCrine®)」という物質がありまして、中国茶のクチャの葉に含まれる代表的な成分です。

そして面白いのが、このテアクリン、コーヒーに含まれる覚醒成分「カフェイン」と構造が似ているようなんです。しかも、カフェインにありがちな、「眠れない…」「摂りすぎて効かなくなった…」みたいなことが起こらないんだそうな。優秀ですね…。

そこでこの記事では、テアクリンでもカフェインと同等か、それ以上の効果は得られるのか?という点について見ていきます。

テアクリンvs.カフェイン!筋トレ効率を高めてくれるのは?

参考になるのが、2019年にフロリダ州立大学が発表したランダム化クロスオーバー試験(#1)でして、カフェインとテアクリンで筋トレ効率アップ効果を競わせる実験を行っていました。

この研究では、12名の筋トレ経験豊富な男性を対象に、全員に以下4つのパターンを間隔を空けつつ経験してもらうという実験を行った様子。

  • カフェイン300mg
  • テアクリン300mg
  • カフェイン150mg + テアクリン150mg
  • プラセボ(偽薬)300mg

*実験開始1時間くらい前に、タンパク質&糖質源となるバーを全員が食べている

参加者は、上記のパターンでサプリを摂取して90分が経過した後、ベンチプレスやスクワットの1RMや、1RM70%で限界まで挙げるといった筋力測定と、2kmのロウイングのタイムトライアルで筋持久力測定を行いました。それと同時に、モチベーションや活力といったメンタル面への効果もチェックしたようですね。

そして結果をグループ間で比較したところ、こんなことが分かりました。

結果
  • どのグループ間でも、筋力やパワー、筋持久力といった項目に有意な差は見られなかった(カフェインもテアクリンも同等にアップした)
  • カフェイン300mgはテアクリン300mgやプラセボと比べて、有意に運動へのモチベーションや活力、集中力といった精神面を高めた
  • ただし、カフェイン300mgとテアクリン150mg + カフェイン150mgの間では、有意な差は見られなかった

カフェインに似た物質「テアクリン」で筋トレの効率はアップするのか?

(#1)より引用。ベンチプレス(左)とスクワット(右)の1RMの比較結果を示している。

まとめると、テアクリンはカフェインと大して変わらない!という感じでしょうか。むしろ、カフェインを300mg摂ったパターンのほうが、活力やモチベーション、集中力といったメンタルリソースは高まっていたみたいです。

一方で、RPE(自覚的運動強度)の数値はどのパターンでも差は見られなかったらしく、主観で感じる運動のキツさには影響が表れなかったと言えましょう。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくと宜しいかと。

注意
  • サンプルサイズは小さい: 12名と参加者数が少ない分、統計的パワーは弱め
  • サンプルに偏りがある: 参加者は男性で、しかも筋トレ経験者なので、女性や他の特徴を持つ人で同様の結果が得られるか?はわからない
  • カフェインの摂取量が足りていなかったかもしれない: カフェインで運動パフォーマンスアップ効果を狙うには、大体体重1kg当たり3〜9mgが必要とされているが、今回の150〜300mgという量は、活発な男性に十分な効果を発揮するのには少なかったかも…

こうした点も踏まえると、まだまだテアクリンの効果は断定的ではないと言えましょう。今回は微妙な結果に終わりましたが、今後の望みはあるかと。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 中国茶のクチャの葉に含まれる代表的な成分で、カフェインと構造が似ている「テアクリン」
  • カフェインとテアクリンで筋トレ効率アップ効果を比べた実験によると、両者で筋力や筋持久力などに有意な差はみられず、モチベーションや活力といったメンタル面ではカフェインに軍配が上がった
  • テアクリンは、カフェインにありがちな「眠れない…」「摂りすぎて効かなくなった…」みたいなことが起こらないようなので、今後の追試によっては有望な選択肢になるかもしれない

赤羽(Akabane)

また面白い成分が登場しました。運動パフォーマンスを高めると言えば、カフェインの天下みたいな感じがありましたが、今後のデータいかんによってはテアクリンも使えるサプリに成り上がるかも…。

関連記事はこちらもどうぞ

その運動は本当に効いてるか?自覚的運動強度(RPE)の定番「ボルグスケール」早見表で自分の運動レベルを把握しようその運動は本当に効いてるか?自覚的運動強度(RPE)の定番「ボルグスケール」早見表で自分の運動レベルを把握しよう筋トレ版の「自覚的運動強度(RPE)」でムダなく効率的なトレーニングをしよう筋トレ版の「自覚的運動強度(RPE)」でムダなく効率的なトレーニングをしようコーヒー 筋トレ 有酸素 効果運動パフォーマンスを高めるためのカフェイン総まとめ!効果があるのは有酸素運動か筋トレか、おすすめの摂取量、コーヒーでもOK?カフェインで寝不足な脳を覚醒させる効果が限界を迎えるのは〇〇日目以降カフェインで寝不足な脳を呼び覚ます効果の限界は〇〇日目まで【画像・日本語解説つき】米海軍式アルゴリズム「2B-Alert」の使い方!カフェインの摂取量と飲むタイミングもこれでスッキリ!【画像・日本語解説つき】米陸軍式アルゴリズム「2B-Alert」の使い方!カフェインの摂取量とタイミングはデータで管理する時代。

参考文献&引用

#1 Cesareo, K.R., Mason, J.R., Saracino, P.G. et al. The effects of a caffeine-like supplement, TeaCrine®, on muscular strength, endurance and power performance in resistance-trained men. J Int Soc Sports Nutr 16, 47 (2019). https://doi.org/10.1186/s12970-019-0316-5