赤羽(Akabane)
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プチ断食は二型糖尿病患者がやっても問題ないのか?
プチ断食とは、簡単に言えば断食の緩いバージョンで、種類にもよりますが1回で大体24時間以内の断食時間を設けます。
こうした適度な断食によって、いい具合に体にストレスを与えて、細胞を若返らせる効果が見込めたり、長期的にあらゆる生活習慣病のリスクも抑え込めるんでは?とも考えられています。
ところが、二型糖尿病患者にプチ断食はOKなのか?という問題提起もあります。いかんせん、食事をする時間とそうでない時間をキッパリ分けるもので、ただでさえ糖尿病患者は血糖値コントロールが難しいのに、急に食べたりすると血糖値が乱高下してしまって体によろしくないのでは?という主張があるんですね。
プチ断食は二型糖尿病の患者がやっても問題なさそうだ!4週間のプチ断食を実践する実験の結果..
2020年にオーストラリアカトリック大学が発表した研究(#1)ではこの問題にアプローチしてくれていまして、4週間のプチ断食は血糖値や体型こそあまり改善しないものの、しっかり取り組んだ日には食事バランスが健康になるかも!健康上の問題は無さそう!ということが判明しました。
この研究では、二型糖尿病を抱える24名を対象にプチ断食を実践してもらう実験を行っていまして、実験の全貌はざっとこんな感じでした。
- 最初の2週間…普段通りの食事をしてもらう
- 続く4週間…毎週できる限り多くの日に、10:00~19:00の時間帯でのみ食事を摂るよう心掛けてもらう
*実験は全体で6週間
このように一日の中で食事の時間帯を8時間前後に決め打ちする方法は、プチ断食の中でも「タイムフレーム式」と呼ばれており、私も実践しているリーンゲインズが代表例です。
そして実験前後で体組成計測定や心理面の聞き取り調査を行い、1週間ごとに血液サンプルを採取、こうした数値の変化を追っていったようです。
すると最終的に19名がこの実験をやり遂げまして、そこから以下のような結果が得られました。
- 4週間(28日間)のうち、参加者は72 ± 24%の割合でプチ断食のルールを遵守していた
- プチ断食をしっかり取り組んだ日とそうでない日を比べると、炭水化物の摂取量を通して全体のエネルギー摂取が減っており、アルコールの摂取も減少していた
- 4週間で血糖値や体重には有意な改善は見られなかった
まとめると、4週間のプチ断食で目覚ましい減量効果や血糖値の改善こそ見られなかったものの、しっかり取り組んだ日には、炭水化物やアルコールの摂取量が有意に減っていたりしました。食生活の面でいえば、これは改善であるといえましょう。
また、心理面のレポート結果では、空腹や日々のちょっとしたストレスを報告する人も居たようです。食生活がガラッと変わるわけですから、この点はある程度仕方ないかと思われます。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズは小さい: 実験に含まれた参加者数がかなり少ないので、統計的なパワーも弱くなる
- 参加者は有志を募っている: 元々プチ断食に対してある程度のモチベーションがある人たちを対象にしているので、そうでない人ではどのくらい続けられるかは分からない
- 実験期間は短い: 数週間の実験では、半年・年単位の効果は分からない
現に、今回血糖値コントロールの指標として追っていた「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」も、数ヶ月単位で見ないと介入による変化が表れにくいことが分かっています。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- プチ断食は二型糖尿病患者がやっても特に問題はなかったようだ
- 4週間のタイムフレーム式プチ断食を二型糖尿病患者に実践してもらう実験によると、プチ断食にしっかり取り組んだ日にはそうでない日よりも炭水化物やアルコールの摂取量が減る傾向が確認された
- 一方で、血糖値コントロールや体型には目立った改善は見られず、聞き取り調査でも空腹感やストレスを感じるという報告もあったりという課題も見つかった
赤羽(Akabane)
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#1 Parr, E.B.; Devlin, B.L.; Lim, K.H.C.; Moresi, L.N.Z.; Geils, C.; Brennan, L.; Hawley, J.A. Time-Restricted Eating as a Nutrition Strategy for Individuals with Type 2 Diabetes: A Feasibility Study. Nutrients 2020, 12, 3228.