赤羽(Akabane)
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ビタミンDサプリのがん・心血管疾患リスク予防効果が質の高い実験で否定されたみたいだ
ビタミンDの重要性は近年更に高まってきていて、オフィスワークをしていると日光を浴びられない分不足しやすいこともわかっていたりします。
というわけで、この記事ではビタミンDサプリの慢性病に対する効果を見ていきましょう。
ビタミンDサプリのがん・心血管疾患リスクへの効果を検証した最大級の比較実験
2020年にブリガム・アンド・ウイメンズ病院とハーバード大メディカルスクールが発表したRCT(#1)によると、ビタミンDサプリはがんや心血管疾患などの慢性病予防には効果が見られなかったようです。
この研究では25,871名(平均67歳)を対象に、中央値で5.3年の比較実験を行なっていて、彼らを以下の4グループにランダムで分類していました。
- ビタミンD& オメガ3グループ:2000IUのビタミンD3サプリと1gのオメガ3サプリを毎日飲む
- ビタミンDグループ:2000IUのビタミンD3サプリとオメガ3にみせた偽薬を毎日飲む
- オメガ3グループ:ビタミンDにみせた偽薬と1gのオメガ3サプリを毎日飲む
- プラセボグループ:ビタミンDとオメガ3サプリにみせた偽薬を飲む
そして実験期間中のがんや心血管疾患系の発症件数を集計、グループ間で有意な差が見られるのか?というところをチェックしていました。
すると結果、実験期間中に1,617名ががんの診断を、807名が心血管疾患の診断を受けました。そしてこのデータから以下のような結果になったようです。
- ビタミンDサプリもオメガ3サプリも期間中のがん・心血管疾患リスク低下に有意な効果はなかった!
まとめると、5年近くにわたる期間の間ではビタミンDにがんや心血管疾患リスクを下げる効力はなかったんですね。この結果は、これまで観察研究のメタ分析で出ていた結論とは異なるものです。
また副作用については特になくて、高カルシウム結晶や腎結石、消化器官の不調などの問題は特になかったようです。
注意点・まとめ
今回の実験は質の高いデザインで、しかも5年もの長期間で行われています。その分参考になるデータではありますが、対象になったのはアメリカに住む人たちのみでした。この部分、色々な地域や人種のデータも今後は期待ですね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- ビタミンDサプリはがんや心血管疾患リスク低下に効果はみられなかった
- おまけにオメガ3サプリも両者のリスク低下に効果はみられなかった
- ビタミンDサプリやオメガ3サプリだけでは慢性病の予防には十分でないかもしれない
こんな感じでしょうか。やはり近年注目されているビタミンDと言えど、サプリに頼りきりはあまり意味がないということでおひとつ。
赤羽(Akabane)
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#1 JoAnn E. Manson, et al. Vitamin D Supplements and Prevention of Cancer and Cardiovascular Disease. N Engl J Med. 2019 Jan 3;380(1):33-44.