結局、ビタミンDサプリで早死にリスクは下がるのか?

結局、ビタミンDサプリで早死にリスクは下がるのか?

赤羽(Akabane)

今回は「結局ビタミンDサプリで早死にリスクは下がるの?」というお話です。

結局、ビタミンDサプリで早死にリスクは下がるのか?

この問題については、過去に2007年のメタ分析(#1)を取り上げていて、これは18件のRCTから57311名を対象にした総まとめでした。そしてこの結果、ビタミンDサプリを飲み続けたグループはそうでないグループより総死亡リスクが7%低下した!という報告が上がっていたんですね。

でここからは、この問題について最新のアップデートが出ていたので覗いてみましょう。

ビタミンDサプリは早死にリスクを下げる効果はないが..

これは2019年に成都大学附属病院が発表したメタ分析(#2)で、52件のRCTから75454名を対象に、ビタミンDの早死にリスクへの効果を調べたものです。

今回の研究が先程のモノより優れている点は研究数とサンプル数が増えたところでしょうか。実験の追跡期間は中央値で1.2年、うち14件が3年間追跡していたようで、なかなかいい感じです。

するとまず全体の実験で、追跡期間中に8033名が亡くなりました。ではこの質が高い総まとめからどんなことがわかったのか?結果をみていきましょう。

結果
  • ビタミンDサプリは総死亡リスクには効果なし
  • 心血管疾患に因る死亡リスクにも効果なし
  • がんや心血管疾患による死亡リスクにも効果なし

まとめると、ビタミンDサプリはあらゆる早死にリスクに対して効果がなかった!という残念な結果になったんですね。

ただこれで終わりではなくて、一方で【がんに因る死亡リスクは16%低下していた】という結果も得られています。この点では、ビタミンDが大いに役立つ可能性がありそうですね。

ちなみにビタミンDは「D2」と「D3」がありますが、何やらビタミンD3のほうが効果が高いのかな?という印象。がんに因る死亡リスクもD3でのみ見られていますし、摂るなら「D3」でしょうか。また細かく見ると、実験が長期の方が総死亡リスクは有意に低かったとのことです。

注意点・まとめ

ただし注意点もいくつかあって、次の点は押さえておくとよろしいかと思います。

注意
  • 期間は死亡リスクを見るにはちょっと短い:これは実験のデザイン上仕方ないものの、5年くらいあればもっと参考になりそう
  • 一部の研究で比較グループもビタミンDを飲んでいる:比較対象もビタミンDを飲めばその分効果の差が小さく出ている可能性もある
  • 含まれた研究は「早死にリスク」を第一のテーマにしたものではない:早死にリスクのデータはあくまでサブで、メインの研究とは違う方法で集められた可能性がある

もしかすると、効果が小さく出ているかもしれないぞ?という点は特に大事なポイントかと。では以上も踏まえて最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • ビタミンDサプリはあらゆる早死にリスクに効果がなかった
  • ただしがんに因る死亡リスクは下げてくれるかも
  • 摂るならビタミンD3がベターかもなので、動物性食品や日光を浴びるなどで摂取しよう

こんな感じでしょうか。いくら優秀なビタミンDと言えど、一つの栄養素のサプリだけで大きな効果が得られる!と思わないほうがよさそうです。

赤羽(Akabane)

とはいえビタミンDは現代人に足りていない傾向があったり、なにかと重宝される栄養素です。興味のあるかたは、以下もあわせてご覧ください。

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参考文献&引用

#1 Philippe Autier, Sara Gandini. Vitamin D Supplementation and Total Mortality A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Arch Intern Med,Vol.167,No.16,pp1730-1737,2007.

#2 Yu Zhang, Fang Fang, Jingjing Tang, et al. Association between vitamin D supplementation and mortality: systematic review and meta-analysis. BMJ 2019; 366.