「先延ばし癖が治らない..」科学が認めた認知行動療法はどこまで治す効果があるのか?

「先延ばし癖が治らない..」科学が認めた認知行動療法はどこまで治す効果があるのか?

赤羽(Akabane)

今回は「認知行動療法は先延ばし癖まで治す!」というお話です。

「先延ばし癖が治らない..」科学が認めた認知行動療法はどこまで治す効果があるのか?

認知行動療法とは、思考の歪みを矯正していく整形外科のメンタル版みたいなもので、科学的に効果を支持するデータも豊富なテクニックのこと。

詳しくは以下のリンクで紹介していますので、一旦先へ進みましょう。

メンタル 認知行動療法 効果 科学的に認められたメンタル改善テクニック『認知行動療法』のいろはを学ぼう!

オンラインかグループワークか?認知行動療法で先延ばしを治すのに効果的なのは?

ではここから本題へ。認知行動療法の先延ばし治療効果についてですが、参考になるのが2018年にストックホルム大学が発表したRCT(#1)で、先延ばし癖がひどい92名の大学生(平均)を対象に、認知行動療法でどこまで治せるか?を調べたもの。

この実験では、まず彼らを次のようなグループに分けました。

  • オンライン認知行動療法(OCBT):オンラインで提供された認知行動療法テクニックをもとに自分で実践していく
  • グループ認知行動療法(GCBT):集団で指導を受けつつ一緒に認知行動療法を実践していく

でそれぞれのグループで8週間を過ごしてもらって、実験前後とその後6ヵ月経過時点で先延ばし度や不安・うつ症状レベル、主観的な幸福度をチェックしたようです。(*先延ばし度チェックは週1ペースで行われた)

すると結果、次のような感じになりました。

結果
  • OCBTで先延ばし癖がかなり改善した(効果量d = 1.29; 95%CI 0.81-1.74)
  • GCBTで先延ばし癖がかなり改善した(効果量d = 1.24; 95%CI 0.76-1.70)
  • それぞれOCBTは33.7%、GCBTは46.7%の改善度だった

ここから言えるのは、認知行動療法自体に先延ばし効果が見込めること、そしてグループのほうが改善した人の割合が若干多かったということ。しかも実験終了から6ヵ月経過時点でも、GCBTのほうが継続している率が高かったようです。

認知行動療法が先延ばしに効く!という報告は同じく2018年のメタ分析(#2)でも上がっていて、含まれたのはたった3件ですが「効果量g = 0.55; 95%CI 0.32-0.77」という結果になっていました。これは中くらいのレベルで効果があることを意味していて、その程度はまだ誤差があってハッキリしないものの、実感が出来るくらいの効果は見込めるんじゃないか?と思います。

注意点・まとめ

今回の注意点としては、まだ全体での実証研究数が少なかったり、それぞれが含むサンプル数も少ない点でしょうか。また結果にもバラつきが大きいようで、この辺り効果にも個人差が大きいのかなという印象です。

では最後に今回のまとめといきましょう。

ポイント
  • 認知行動療法は先延ばしに効果がありそう
  • グループで行うタイプの認知行動療法のほうが長続きして良さそう
  • ただ効果には個人差が大きい(認知行動療法のデザインややり方の違いも影響してそう)

ひとまずはこんな感じに落ち着くかと。個人的には、他のメンタルの問題への効果を考慮すれば、試す価値は十分だと思います。

赤羽(Akabane)

認知行動療法について、先延ばし癖について、はそれぞれ過去に結構まとめてあるので、興味のある方は続きも是非ご覧ください。

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参考文献&引用

#1 Rozental A, Forsström D, Lindner P. Treating Procrastination Using Cognitive Behavior Therapy: A Pragmatic Randomized Controlled Trial Comparing Treatment Delivered via the Internet or in Groups. Behav Ther. 2018 Mar;49(2):180-197.

#2 Rozental A, Bennett S, Forsström D. Targeting Procrastination Using Psychological Treatments: A Systematic Review and Meta-Analysis. Front Psychol. 2018 Aug 30;9:1588.