マインドフルネスベースドの治療はうつ病や不安など精神疾患にどのくらい効くのか?

2019年7月10日CBT(認知行動療法), その他ストレス対策, マインドフルネス

マインドフルネスベースドの治療はうつ病や不安など精神疾患にどのくらい効くのか?

マインドフルネスベースドの治療はうつ病や不安など精神疾患にどのくらい効果あるのか?

今回は「マインドフルネスベースドの治療って精神疾患にどのくらい効くの?」というお話です。
 
 
まず「マインドフルネス」についてザックリおさらいしておきましょう。
 

マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは、簡単に言うと「今ココの意識」のことで、いかに未来や過去でなく今に意識が向いているか?のことです。
 
 
マインドフルネスに関する2018年のレビュー研究(#1)では、こんな風に定義されております。
 

マインドフルネスは訓練やその過程、特徴を広義的に指して使われる言葉であり、多くは物事に注意を向ける力、気づき、記憶、受容の精神に関連している。この言葉は仏教にそのルーツを持っている一方で、心理学や精神医学、神経学やその他さまざまな分野で人気を博している。[筆者訳](#1)

 
キーワードは「注意」「受容」あたりでしょうか。とにかくこの瞬間に注意(意識)を向けて感情や気持ちの流れを受け容れる、と言った感じです。
 
 
ただ、現代ではこうしたマインドフルネスな状態になるのは非常に難しいのではないかとも思うわけです。幾つか例を挙げてみますと、
 

  • 目の前の信号の色を気にして歩いている(点滅しませんように!)
  • スマホをいじりながら食べ物を胃に流し込む(どのくらい食べたか覚えていない)
  • 朝起きたらその日の仕事・授業のことで頭がいっぱい(面倒くさいなあ.. あれやってこれやって..)

 
こんな感じで、現代人は未来のスケジュールやタスクにばかり気を取られてしまっており、“今この時”に意識を向ける余裕がないんではないかと。心当たりはありましょうか?
 

マインドフルネスベースド治療のランダム化比較実験を142件集めたメタ分析の結果…

ではここからが本題です。マインドフルネスを基盤に置いたメンタル治療法は精神疾患にどんな効果があるんでしょう?
 
 
この問題について参考になるのが、2018年にVAピュージェットサウンドヘルスケアシステムという医療センターが発表したメタ分析(#2)です。
 
 
これは過去に出た142件のRCTを集めて、そこから12005名(平均43.63歳)を対象にマインドフルネスの精神疾患への効果をまとめたもの。このジャンルでは過去最大級&最高品質の研究ですね。
 
 
実験は「マインドフルネスベースド治療 vs. 比較グループ」で効果の差を比較しているんですが、比較グループは具体的に5つに分類されたようです。

 

  • 何もしない…文字通り何の治療も受けない
  • ミニマル治療…短い5〜10分程度の禁煙向けのカウンセリングなど
  • 関係ないことをする…治療とは関係ない何かをしてもらう(空の旅について話し合う、買い物など)
  • その他治療…マインドフルネス以外の何かしら治療を受ける(短時間の心理療法など)
  • エビデンスベースド治療…認知行動療法など科学的に確立した治療を受ける

 

で精神疾患のタイプとしては、うつ病や不安症、慢性痛を調べたものが多くて、他には摂食障害、パニック障害、統合失調症、アルコール・たばこ依存症なども含まれていました。
 
 
そしてこうした実験が平均6.43か月(1~24か月)の期間で行われて、その総まとめとして次のようなことが分かりました。

 

実験終了時点で、マインドフルネスベースド治療は...
  • 「何もしない」よりも高い効果があった(d=0.55 CI95% 0.47~0.63)
  • 「ミニマル治療」よりも高い効果があった(d=0.37 CI95% 0.03~0.71)
  • 「関係ないことをする」よりも高い効果があった(d=0.35 CI95% 0.09~0.62)
  • 「その他治療」よりも高い効果があった(d=0.23 CI95% 0.12~0.34)
  • 「エビデンスベースド治療」とは差がなかった(d= -0.004 CI95% -0.15~0.14)
実験終了後のフォローアップ期間も含めて、マインドフルネスベースド治療は...
  • 「何もしない」よりも高い効果があった(d=0.50 CI95% 0.36~0.65)
  • 「ミニマル治療」とは差がなかった(d=0.38 CI95% 0.05~0.82)
  • 「関係ないことをする」よりも高い効果があった(d=0.52 CI95% 0.05~0.99)
  • 「その他治療」よりも高い効果があった(d=0.29 CI95% 0.13~0.45)
  • 「エビデンスベースド治療」とは差がなかった(d= 0.09 CI95% -0.14~0.33)
疾患別に見た、マインドフルネスベースド治療の効果は...
  • 「何もしない」「その他治療」では疾患が違っても効果は変わらず高かった
  • 「ミニマル治療」「関係ないことをする」と比較したデータは少ないため調査できず
  • 「エビデンスベースド治療」と比べると、たばこ依存症の改善はマインドフルネスベースド治療が上回った
  • 不安症やうつ病の改善効果はほぼ同じくらいだった
 

情報量が多いですが、どうやらマインドフルネスベースド治療は認知行動療法などの確立した治療法と同等の効果があるということが言えそうです。
 
 
ちなみに一貫して効果が見られていたのは、

 

  • うつ病
  • 慢性痛
  • たばこ依存
  • 依存症全般

 

特にこうした疾患に対してでした。メンタルの病から依存症まで、認知の異常が要因になる疾患にはかなり効果が見込めそうです。
 

まとめ

今回の研究は結構強みがあって、①各々の疾患別に最低4件以上のRCTを含んでいること②比較グループはごっちゃにせずしっかり内容で分けていること③研究の数とサンプル数が多いこと、などかなりしっかりしたデザインです。
 
 
でこの結果分かったことをまとめると、

 

ポイント
  • マインドフルネスベースド治療はあらゆる精神疾患に効果がありそう
  • その効果は確立された「認知行動療法」に並ぶレベルかも
  • うつ病、たばこなどの依存症、慢性痛に一貫した効果が見られた
 

こんな感じでしょうか。科学に裏打ちされた認知行動療法と同等の効果が見込めるとのことで、かなり試す価値はあるかと思います。
 
 
で具体的にどんな方法があるのか?という重要なポイントですが、今回の研究だと「マインドフルネスベースド治療」には、

 

  • マインドフルネスベースド認知療法(MBCT)
  • マインドフルネスストレス低減法(MBSR)
  • マインドフルネスベースド再発防止法(MBRP)

 

こういったものが含まれていました。これらについては今後詳しく紹介していきたいと思います。

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赤羽(Akabane)

マインドフルネスとひと口に言っても色々な種類がありますが、根底にあるマインドフルネスの概念は一緒です。ひとまずはマインドフルネスを鍛えるテクニックに挑戦してみるのもアリかと思います。

マインドフルネスのテクニック

自分の今のマインドフルネス度を知る

ジョン・カバットジンの「マインドフルネスストレス低減法」

参考文献&引用

#1 Nicholas T. Van Dam, Marieke K. van Vugt, David R. Vago, Laura Schmalzl, Clifford D. Saron,Andrew Olendzki,Ted Meissner,Sara W. Lazar, Catherine E. Kerr, Jolie Gorchov, Kieran C.R. Fox,Brent A. Field, Willoughby B. Britton, Julie A. Brefczynski-Lewis, and David E. Meyer,Mind The Hype: A Critical Evaluation and Prescriptive Agenda for Research on Mindfulness and Meditation,Perspect Psychol Sci. 2018 Jan; 13(1): 36–61.

#2 Simon B. Goldberg, Raymond P. Tucker, Preston A. Greene, Richard J. Davidson, Bruce E. Wampold, David J. Kearney, and Tracy L. Simpson. Mindfulness-based interventions for psychiatric disorders: A systematic review and meta-analysis. Clin Psychol Rev. 2018 Feb; 59: 52–60.