赤羽(Akabane)
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オンライン&セルフの認知行動療法でもうつ病発症リスクや症状の軽減に効果的みたいだ
不眠症の人の割合はここ最近でも世界的にかなり増えていまして、日本でも10人に1人が不眠症の疑いがあるという調査結果も出ている程。そして睡眠に問題を抱えるとうつ病を発症するリスクも高まってしまいます。
ここからは、そんな不眠症を抱えた人のうつ病予防に効果的なテクニックを見ていきましょう。
オンラインの認知行動療法で不眠症患者にうつ病予防効果?
2019年に睡眠障害研究センターが発表したRCT(#1)では、658名(18~92歳)の不眠症患者を対象に、デジタル化した認知行動療法にどのくらいうつ病予防効果があるか?を調べてくれていました。
実験ではまず参加者らを次の2グループに分けて、それぞれで1年間を過ごしてもらいました。
- デジタル認知行動療法(358名):オンラインでできる認知行動療法「スリーピオ(#2)」のプログラムを12週間にわたって進めていく
- アクティブグループ(300名):オンラインで健康な睡眠に関する教育をメール経由で受けるグループ
実際の認知行動療法プログラムでは、刺激制限療法やリラクゼーション、睡眠教育など鉄板の内容が組み込まれていて、かなり本格的な印象です。
で調査対象になるのは実験開始から1年以内でのうつ病の発症率や症状の重さなどで、グループ間の差はどのくらいになるのか?という点を追っていったようです。
すると結果、実験開始時点で全体の半数ちかくが中~重度のうつを発症していて、ここから次のようなことが分かりました。
- デジタル認知行動療法で比較グループよりも1年後のうつ病スコアが2倍改善していた(4.0点 ± 5.0 vs. 1.7点 ± 4.7)
- 1年後の時点で中~重度のうつ病を抱える患者はデジタル認知行動療法のほうが少なかった(20.9% vs. 35.5%)
- 1年後のうつ病寛解率もデジタル認知行動療法で半数を占めた(56.4% vs. 37.3%)
まとめると、オンラインで認知行動療法を受けたグループではその後うつ病が落ち着いたり、症状が軽くなる効果が見られたんですね。
また、実験開始時点でうつ病にはかかっていない患者だけを分析してみると、どうやら1年以内にうつ病を発症するリスクはデジタル認知行動療法のほうが50%も低かったようです。睡眠教育と比べてこの差、ということなのでなかなかすごい結果かと。
注意点・まとめ
今回の研究は単体の実験の中でも結構質が高くて参考になりそうです。ただし注意点としては、うつ病の診断に使われたスコアは医師による正式な診断ではない点は押さえておくと良さそうです。とは言え、このスコアも一応うつ病の診断に有効である!というお墨付きではありますが。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- オンラインで自分でやるタイプの認知行動療法は不眠症患者のうつ病予防・症状軽減に効果的だった
- 睡眠教育をオンラインで受けるグループと比較しても、うつ病のスコア改善、症状の緩和、発症リスクの低下などが確認された
- 認知行動療法も手軽にオンラインで出来る時代になりつつある
今後、認知行動療法もオンラインでセルフでやる時代になっていくんでしょうか..。専門のカウンセラーの元へ通うのも大変なので、効果が実証されればかなり有効な手段だと思いますね。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Philip Cheng, David A Kalmbach, Gabriel Tallent, ea al. Depression prevention via digital cognitive behavioral therapy for insomnia: a randomized controlled trial. Sleep, Volume 42, Issue 10, October 2019, zsz150.
#2 Sleepio. accessed on 11th Dec 2019.