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食物繊維を増やして糖尿病を改善できることが確定した件。
糖尿病は今やメジャーな病気になってしまいました。2010年、アメリカでは1880万人もの糖尿病患者がいて、診断されてないだけの隠れ糖尿病も700万人近くいるのではないかと報告したデータもあるくらいです。その大多数が「二型糖尿病」と呼ばれる、生活習慣が大きく関係しているものですが、稀に先天性のものや免疫異常で起こる「一型糖尿病」もあります。糖尿病は全部が全部その人の責任で起こったものだというわけではないということですね。
症状を簡単に説明すると、すい臓から分泌されるはずの「インスリン」がうまく分泌できなくなってしまうのです。このインスリンは食べ物なんかを消化したあと血中の糖質やアミノ酸などを筋肉や肝臓、脂肪に送り込む役割があります。こいつが上手く機能しないとどうなるか。血中の糖が送り込まれず血糖値が高いまんま(高血糖)になってしまいますね。
食物繊維の摂取量を増やして「二型糖尿病」を改善!
といったところ、今回は糖尿病には食物繊維だ!というお話をば。参考になるのが2012年にアメリカのポスドクらによって発表されたメタ分析(信頼度の高い研究方法)の研究(#1)でして、二型糖尿病の症状は食物繊維の摂取量を増やすことで改善されたとの結果なんですね。ザっと中身を覗いてみると、
- 15の関連研究を選出、そのうち5つはRCT研究、10はランダム化横断研究
- 二型糖尿病患者が対象、52歳~69歳の被験者がいた模様
- 食物繊維を取るグループと取らないグループの比較実験がメインだった
- 食物繊維の摂取量は一日当たり4g~40g
- 追跡期間は12週間以内が多め
こんな様子。どうやら3ヵ月ほどの研究が大半なので、今回分かるのは短期的な食物繊維の効果でしょうか。結果を見ていきますと、
- 食物繊維を摂ったグループでは空腹時の血糖値がかなり下がった
- HbAlc(ヘモグロビンとブドウ糖が結びついたもの)も減った
こんな様子。まとめると、糖尿病の症状が改善したことを意味します。メカニズムとしては、食物繊維が食品のGI値をグンと抑えてくれるからなんですね。実際に食物繊維がGI(Glycemic Index)値を下げるという報告は多数。詳しくは以下をザっとご覧いただければと。
糖尿病リスクを最も下げる食物繊維の摂取源とは?【野菜、果物、穀物】【低GIダイエット vs 高GIダイエット】太るのは本当にインスリンのせいなのか?ちなみに「食物繊維を摂る上で一番吸収率がいいとされるのは”穀物”だ!」という信頼性高めの研究があるので、食物繊維を優先するなら野菜や果物より穀物のほうが効率がいいようです。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Robert E. Post, MD, MS, Arch G. Mainous III,Dana E. King, MD, MS,Kit N. Simpson, “Dietary Fiber for the Treatment of Type 2 Diabetes Mellitus Meta-Analysis“,Journal of The American Board of Family Medicine,Vol.25,No.1,pp16-23,2012.