赤羽(Akabane)
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ダイエット期間中にはこまめに体重計に乗った方が効果的みたいだ
ダイエットをしている、ということは、現状の体型に満足していないということ。そして現状の体型に満足していないとなると、体重計に乗るのも現実を突きつけられているみたいで嫌なコトでしょう。
そこでこの記事では、ダイエット期間中にはこまめに体重を測った方がいいの?という疑問を調べたデータを見ていきます。
こまめな体重測定による進捗確認がダイエット成功のカギ?
2020年にコルドバ大学が発表したRCT(#1)によると、ダイエット中はこまめに体重計に乗って進捗を確認した方が痩せやすいことが分かったようです。
この研究では、70名の太り気味/肥満体型の男性(平均40歳)を対象に、彼らをランダムに2つのグループに分ける実験を行いました。
- セルフモニタリンググループ(35名):スマホアプリを使って各自で好きな時に体重を測るように推奨された(しばらく測っていないとプッシュ通知がくる仕組みになっている)
- コントロールグループ(35名):決められたタイミング以外では体重を測らないように指示された
両グループは、上記の条件以外は同じ待遇を受けていて、食事や減量に関するアドバイスは一緒でした。その上で、参加者らは各々の目標体重を設定して、そこへ向けて6ヵ月の減量プログラムを開始するという流れです。
参加者は全員、週に1回クリニックへ行って栄養士に進捗を見てもらっていて、そこでは両グループとも体重を測ることになっていたみたい。実験期間もそこそこありますし、かなりキチンとした実験デザインですね。
そして、最終的に54名が実験をやり遂げて、以下のようなことが分かったようです。
- 実験前後で見ると、グループに関係なく減量に成功していた(体重: −7.1kg, 体脂肪率: −11.8%, 筋肉量: −3.5kg, 内臓脂肪: -17.4)
- グループ間で比べると、セルフモニタリンググループの方が、4週目時点から有意な減量差が生まれて、その後24週目まで差が広がっていった(24週目時点: -9.2kg vs. -5.1kg)
- 体脂肪率と内臓脂肪に関しても同様の結果が得られた
まとめると、実験期間中にこまめに体重計で進捗をチェックしていたグループの方が、より減量&体脂肪を落とすことに成功していたんですね。
ではどうしてこまめな体重測定がこうした結果に繋がったのでしょう?考えられるのは、「ちゃんとダイエットの効果が出ているのか?」という客観的な結果が目に見えて分かることで、その後のモチベーションや頑張りの指標になるからだ、ということ。前より痩せていれば、それはモチベーションになりますし、そうでもなければ、もっと頑張らなければ…!と思うわけですね。
こうした進捗確認の重要性は、2018年のメタ分析(#2)でも報告されていて、全体的な効果は小さかったものの、進捗はこまめに記録して誰かに報告されていた方が目標達成率が高まることが分かっています。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 体重計に乗る頻度が増えるとどうなるか?までは分からない:今回の実験では、アプリを使って最低でも週に1度は測るように仕向けたが、それ以上の測定がどんな効果を生むか?までは未調査。
- どこまで一般化できるか?問題:対象は中年の男性で太り気味/肥満体型な人のみなので、これ以外の条件でも同様の結果が得られるとは限らない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- ダイエット期間中にはこまめに体重計に乗った方が効果的みたいだ
- 今回の実験では、アプリで最低週に一度は体重測定を仕向けられた場合、そうでない場合よりも有意に減量&体脂肪減少に成功していた
- 過去の研究を踏まえると、ダイエットだけに留まらず、こまめな進捗確認が目標達成の重要なカギであることは間違いなさそうだ
赤羽(Akabane)
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#1 Hernández-Reyes A, Cámara-Martos F, Vidal Á, Molina-Luque R, Moreno-Rojas R. Effects of Self-Weighing During Weight Loss Treatment: A 6-Month Randomized Controlled Trial. Front Psychol. 2020;11:397. Published 2020 Mar 10.
#2 Harkin B, Webb TL, Chang BP, et al. Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychol Bull. 2016;142(2):198–229.
※当記事はメンテナンス済みですが、2020年6月1日に公開された時点での内容となっておりますので、情報が古くなっている場合もあります。