『キツめの運動vs軽めの運動』エクササイズの不安解消効果はどっちのほうが強いのか?

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赤羽(Akabane)

今回は「運動の不安解消効果」についてのお話です。

運動の不安解消効果は科学的に見ても絶大!

まず本題の前に、運動がどのくらいすごいのか?をザっとおさらいしておきます。過去に取り上げたものだと、

このような報告が多数あります。つまり運動には、あらゆる病気の予防になるだけでなく頭の良さや普段のメンタルにも良い影響があるということですね。面倒に思われる方もいらっしゃるでしょうが、これ程お手軽でシンプルな健康法はそうそうないかと。

不安に最も効く運動の“強度”は?

では本題に入ります。今回は運動のあらゆるメリットの中から「不安解消効果」をピックアップ。「具体的にどのくらいの強度なら不安に効くの?」という部分をザっと見ていきます。

この疑問に答えてくれているのが2018年にイギリスのマンチェスター大学の医療機関などが発表したメタ分析(#1)です。研究の概要は以下の通り。

  • 15件のRCTを精査
  • 675人の参加者(9の研究..不安障害診断の患者、6の研究..不安傾向が強い人々)
  • 実験期間は2週間~6か月
  • 運動の種類と内容、グループの比較については次の通り
種類:
ランニング、ウォーキング、ストレッチ、トレッドミル、有酸素トレーニングクラス受講
内容:
高強度の運動..今回は最大心拍の60~70%(ややきつい)
低強度の運動..ウォーキングやストレッチなど楽なもの
比較:
エクササイズグループvsプラセボグループ(何もしないor意味ないサプリを飲む)

まとめると、なかなか堅牢な実験デザインです。この結果、まずエクササイズで不安症は中くらい改善した!(効果量:0.41=中)という大まかな報告が出ました。これは2008年のメタ分析(#2)とほぼ同じ結果です。

そして、ここから更に運動の強度別のサブアナリシスを見ていくと、

結果
  • 高強度vs低強度で比べると、高強度エクササイズのほうが不安解消効果は高かった!(効果量:-0.38(-0.68~-0.08))

このようなことが分かりました。どうやら不安解消に関して言えば運動はきつめの方が効いたと。具体的には息が上がってきて会話を続けるのが難しくなるレベルなので、通常のランニングくらいでしょうか。スプリントほどは強度は高くないです。

赤羽(Akabane)

まとめると、まあまあキツい!くらいの運動のほうが不安には効く!という感じです。運動を不安対策としてやっている方は意識してみるとよろしいかと。ただし今回の研究ではドロップアウト率(途中で挫折)が高かったという報告もありますので、運動を長続きさせる工夫が必要そうです。この点は「If Then プランニング」あたりをご参考までに。

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参考文献&引用

#1 Aylett E, Small N, Bower P,”Exercise in the treatment of clinical anxiety in general practice – a systematic review and meta-analysis“,BMC Health Serv Res. 2018 Jul 16;18(1):559.

#2 Bradley M Wipfli,Chad D Rethorst,Daniel M. Landers,”The Anxiolytic Effects of Exercise: A Meta-Analysis of Randomized Trials and Dose–Response Analysis“, Journal of Sport & Exercise Psychology 30(4):392-410,2008.