アスリートがコロナ禍で免疫機能を維持するための6つの推奨ガイドライン

アスリートがコロナ禍で免疫機能を維持するための6つの推奨ガイドライン

赤羽(Akabane)

今回は「コロナ禍でアスリートたちの免疫維持に役立つガイドライン」についてのお話です。

アスリートがコロナ禍で免疫機能を維持するための6つの推奨ガイドライン

アスリートだけでなく一般の人も使える!コロナ禍で免疫を最適に保つための6つのガイドライン

2020年にチュニジアの研究ラボの研究者らが発表したレビュー研究(#1)では、コロナ禍で身動きが取れないアスリートのために、免疫機能の維持に欠かせない6つの要素をまとめてくれていました。

それでは、ザックリと中身の6つについてピックアップしていきます。

  • 栄養素をバランスよく摂るべし
  • プチ断食・カロリー制限を駆使せよ
  • ビタミンD不足を回避すべし
  • 十分な睡眠をとるべし
  • 定期的な運動を心がけるべし
  • 人間関係を絶やさず隔離生活を生き抜くべし

栄養素をバランスよく摂るべし

食事が免疫にとっても重要なのは言うまでもありませんが、ここでは特に亜鉛や鉄、銅、セレン、ビタミンA、B6、C、Eなどの微量栄養素の重要性を説いておられました。

こうした微量栄養素は、免疫細胞の酵素が上手く機能するのに欠かせないので、外出自粛などで食事バランスが乱れてしまわないように、アスリートの方々は自己投資だと思って自炊を心がけた方が良さそうですね。

また、新型コロナ以前から健康な食事を続けてきたアスリートであれば、食べ慣れている食品を引き続き摂っていくのが良いとも。


プチ断食・カロリー制限を駆使せよ

プチ断食やカロリー制限のように、体に一時的なストレスを与える方法は、体の抗酸化能を高めたり、炎症を抑えるのに有効であるとされています。

論文内では、特に取り組みやすい方法として「8時間ダイエット」に触れていました。これは、1日のうち8時間を食べてもいい時間とし、残り16時間を断食タイムとする方法です。

ロックダウンなどで以前よりも消費エネルギーが減ってしまったアスリートであれば、こうした適度なストレスで体の免疫を保つのも良いだろうとのことです。当サイトでも、この2つについて以下の記事を書いています。
プチ断食 カロリー制限プチ断食vsカロリー制限!ダイエット効果から生活習慣病の数値まで徹底比較してみた。


ビタミンD不足を回避すべし

上記の「栄養」では取り上げられませんでしたが、ビタミンDも免疫が正常に機能するのに欠かせない栄養素です。ビタミンDは「太陽のビタミン」とも呼ばれていて、肉や魚、乳製品、キノコ類など食事からだけでなく、日光を浴びることによっても体内で分泌されるホルモンのようなものです。

近年では、ビタミンDが免疫の暴走によって全身で炎症が起こる「サイトカインストーム」や呼吸器系感染症の予防に役立つ可能性があるとされていまして、現に体内のビタミンDが不足している人ほど新型コロナの重症化リスクが高かった(#2)という結果も出ています。

とはいえ、サプリで対抗できるか?といえばその辺はよくわかっていないので、当面は朝しっかり日光を浴びる時間を作ったり、ビタミンDが豊富な食品をよく摂るのがよろしいかと思います。
ビタミンDは呼吸器系や認知機能、メンタルヘルスの改善にどこまで効果があるのか?ビタミンDは呼吸器系や認知機能、自己免疫疾患、メンタルヘルスの改善にどこまで効果があるのか?


十分な睡眠をとるべし

睡眠も免疫の正常な活動に欠かせない要素でして、睡眠が阻害されたり不足している時には、ウイルスに対抗する抗体や細胞が減ってしまうことが分かっています。

推奨される睡眠時間は年齢によって異なりますが、国立睡眠財団の見解を参考にすると、成人では7〜9時間睡眠となります。睡眠不足は運動パフォーマンスも低下させますので、必要な時には数分の昼寝をするのもアリだそうです。
睡眠睡眠と健康の権威『国立睡眠財団』が勧める「年齢別の最適な睡眠時間」とは?


定期的な運動を心がけるべし

定期的な運動が免疫強化に良いのは頷ける話かと思います。粘膜の免疫システムに含まれる抗体の代表格「免疫グロブリン」が増えたり、上気道への病原体の侵入を防いだり、何かとメリットがあるんですね。

ただし一方で、高強度の激しい運動を行う人は免疫が逆に弱まり、感染症リスクが高まる恐れがあるという指摘もあります。(「オープン・ウィンドウ理論」という) この辺の議論は依然として続いているものの、今のところは、免疫維持を目指すならば程々の運動に留めておいた方がよろしいかと。
運動 エクササイズ アンチエイジング 炎症【朗報】一日たった20分の運動でも炎症を抑えてアンチエイジング効果が!


人間関係を絶やさず隔離生活を生き抜くべし

ロックダウンや外出自粛によって、友達や恋人との距離ができてしまったり、人との付き合いが希薄になるケースが予想されます。アスリートもこの例外ではないということです。

対策としては、アスリートやそのコーチを含めて、密に連絡を取り合ったり、ビデオ通話などのテクノロジーの利器をうまく活用することが大事だそう。実際に会うのが難しくても、少なくとも画面越しにコミュニケーションを取ったりはできる!と。
人と会う以外にも孤独を癒す手段はこんなにあるんだ!という研究結果人と会う以外にも孤独を癒す手段はこんなにあるんだ!という研究結果

注意点・まとめ

ただし注意点として、今回の研究による知見は、あくまで研究チームによって主観的にピックアップされたもので、コンプリートガイドにはならない点は把握しておいた方がよろしいかと。つまり、この他にも重要な要素はもっとあるかもしれないし、逆に強調されすぎている要素も中にはあるかもしれない、と。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 亜鉛や鉄、銅、セレン、ビタミンA、B6、C、Eなどの微量栄養素は免疫が正常に機能するサポート役を担うので、バランスよい食事を心がけよう
  • プチ断食やカロリー制限は適度なストレスを体に与えて免疫の維持に役立つ可能性がある。1日のうち8時間を食べて良い時間帯とし、残り16時間を断食タイムとする手法などが取り組みやすい
  • 外出自粛などによるビタミンD不足を回避するために、朝はしっかり日光を浴びて、ビタミンDが豊富な食品もたくさん摂ろう
  • 免疫維持のための十分な睡眠として、成人は毎晩7〜9時間の睡眠を確保しよう
  • 定期的な運動を行い、免疫を高めよう(高強度の激しい運動は免疫をむしろ低下させるとの指摘もあるので、程々に)
  • 外出自粛などによる人間関係の希薄化はメンタル面、ひいては免疫機能を低下させる恐れがあるので、アスリートはコーチや仲間などとこまめに連絡を取りつつ、心理的なストレスを軽減させよう

赤羽(Akabane)

一応”アスリートの為の”と銘打ってはありますが、内容的には健康を目指す人全般に共通して言えることです。気になる項目があれば、とりあえず実践あるのみです!

関連記事はこちらもどうぞ

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐソーシャルディスタンス・マスク選び・目の保護をまとめたメタ分析新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐソーシャルディスタンス・マスク選び・目の保護をまとめたメタ分析コロナ禍で個人・社会全体が「上手く立ち回る為の10の戦略」とは?コロナ禍で個人・社会全体が「上手く立ち回る為の10の戦略」とは?人と会う以外にも孤独を癒す手段はこんなにあるんだ!という研究結果人と会う以外にも孤独を癒す手段はこんなにあるんだ!という研究結果

参考文献&引用

#1 Yousfi N, Bragazzi NL, Briki W, Zmijewski P, Chamari K. The COVID-19 pandemic: how to maintain a healthy immune system during the lockdown – a multidisciplinary approach with special focus on athletes. Biol Sport. 2020;37(3):211-216. doi:10.5114/biolsport.2020.95125

#2 Frank H. Lau, Rinku Majumder, Radbeh Torabi, Fouad Saeg, Ryan Hoffman, Jeffrey D. Cirillo, Patrick Greiffenstein. Vitamin D Insufficiency is Prevalent in Severe COVID-19. medRxiv 2020.04.24.20075838; doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.24.20075838