赤羽(Akabane)
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マインドフルネス瞑想でどこまで不眠症を改善できるのか?
マインドフルネスは近年人気の概念ですが、これは一言で表すならば「今ココ、この瞬間に意識や注意を向けること」を指していて、周りの環境や自分の心や体の変化にいかに気づくことができるか?が大事なポイントであります。
こうしたマインドフルネスの要素を取り入れた瞑想を「マインドフルネス瞑想」と呼んでいて、脳の認知機能のリソースや注意力を高めたりと、様々な効果があることが分かってきています。
というわけで、今回は「マインドフルネス瞑想は果たして私たちの眠りを改善してくれるのか?」という問題について、参考になるデータを見ていきます。
マインドフルネス瞑想は不眠症に効くのか?
2016年に第二軍医大学の教授らが発表したメタ分析(#1)では、マインドフルネス瞑想が、入眠の効率性から不眠症のスコアまで眠りのあらゆる項目にどのくらい効果があるのか?を調査していて、内容はザっとこんな感じでした。
- 6件のRCT研究を精査(アメリカ4件、カナダ1件、中国1件)
- 総勢330名が対象で6~8週間(平均7.33週間)の実験期間
- マインドフルネス瞑想 vs 何もしない or 薬学療法 or 認知行動療法 or 不眠症の教育を受けるなど
眠りのパラメータ
マインドフルネス瞑想と色々なものを比較しているのがナイスですね。ただサンプル数があまり多くなかったり、期間が短い点は惜しいところ。結果はこんな感じになりました。
- マインドフルネス瞑想で睡眠の質と一日に起きている時間の項目が優位に改善!
- ただし他の項目ではあまり有意義な効果はなかった
- vs 認知行動療法、薬学療法の研究を除くと全体の効果が高まった
まとめると、マインドフルネス瞑想で睡眠の質が改善する可能性はありそう。ですがその効果は他の定評ある認知行動療法や薬学療法に比べるとやや劣るとのこと。
ちなみにこれに近い結果が2018年のメタ分析(#2)でも報告されていて、マインドフルネス瞑想は効果的な睡眠療法と比べるとやや劣るものの、プラセボグループ(効果がないもの)と比べると中くらいの効果があったという報告になっています。
赤羽(Akabane)
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#1 Gong H, Ni CX, Liu YZ, Zhang Y, Su WJ, Lian YJ, Peng W, Jiang CL,”Mindfulness meditation for insomnia: A meta-analysis of randomized controlled trials.“,J Psychosom Res. 2016 Oct;89:1-6.
#2 Rusch HL, Rosario M, Levison LM, Olivera A, Livingston WS, Wu T, Gill JM,”The effect of mindfulness meditation on sleep quality: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials: Effect of mindfulness meditation on sleep“,Annals of the New York Academy of Sciences · December 2018.