赤羽(Akabane)
目次
名著『SIMPLE RULES』
この著書は二人のビジネス戦略のプロたちによって書かれており、それぞれマサチューセッツ工科大学(MIT)とスタンフォード大学で講師と教授を務めているというのだから驚き。もちろん、参考文献も豊富で私にとっては垂涎ものの逸著でした。
シンプルなルールは何故必要なのか
ということで早速要点を紹介していきますが、その前にひとつだけ前置きをば。それは「何故シンプルにこだわるのか?」という前提の部分への問いになるのですが、この問いへの答えは「人間の脳は一度にそう多くのことを処理しきれないから」です。例えば著書内で紹介されているのが2001年の研究(#2)で、この研究の要点だけザックリまとめると以下のようになっております。
人間が短期記憶に一度にとどめておける純粋な記憶容量は4つが大きな境界線となっている。
注釈として、これは長期記憶やそれを使った記憶テクニックなどを封じたうえでのメモリ容量になります。つまり純粋に脳の処理容量で考えると、人間の脳は一度に多くの情報を処理するのが苦手だと言えそう。
現に「選択のパラドックス」なんて用語があったり、「マルチタスクは非効率だ!」とも言われているくらいですし、多すぎる情報量や複雑なルールは本来人間の脳には適さないのかもしれません。
シンプルなルールの4つの条件
以上を踏まえて本題に入ります。まず著書内ではシンプルなルールの条件として次の4か条を挙げていました。
- ルールの数が少ない
- 使う人に合わせてカスタマイズできる
- 具体的である
- 柔軟性がある
ルールの数に関しては先の章で紹介した通りですね。そして人によって柔軟にカスタマイズできるほど良いルールである、と。ルールの具体性も結果的にこの柔軟性に繋がってきそうに思います。
人生を楽に賢く生きるための6つの「SIMPLE RULES」
では最後に6つの「SIMPLE RULES」を紹介して締めくくりです。一つずつ例を入れてザっと書いていきます。
境界線ルール
(例)重要窃盗犯が盗みに入る家を決めるルールは、「外に車が停まっている家は避ける」だけ。
優先順位ルール
(例)緊急救命の現場で使われる「トリアージ」患者の体に色付きのテープを巻き付け、緊急度をぱっと見で分かるようにする。(赤→重篤、青→軽傷)
停止ルール
(例)メスのコウロギはパートナー探しの時、“1秒間に3回以上連続して羽を震わせられるオス”を選ぶ。が探し始めて24時間経っても見つからない場合は理想を下げる。(※コウロギのオスは求婚活動として羽を高速で震わせる)
ハウツー・ルール
(例)森林管理局の山火事が起きた時の対処法
・できるだけ早く炎から逃げる
・火の気のない場所へ向かう
・“向い火(山火事の進路から草木をなくし、延焼を食いとめること)”を放つ
・火災の延焼を食いとめる
コーディネーション・ルール
(例)ムクドリが一斉に飛ぶ時の一糸乱れぬ集団行動
・隣の鳥に近づきすぎない
・隣の鳥から離れすぎない
・隣の鳥と動きを合わせる
タイミング・ルール
赤羽(Akabane)
関連記事はこちらをどうぞ
目標を確実に達成したいときに一番効果的な方法「If Then プランニング」とは?科学的に証明された目標達成法「If-Then プランニング」の改良版で30%効果を上げる方法最強の目標達成法「IF-THENプランニング」は食生活を健康にするしメンタルヘルスにも効くしやはり最強だった件。参考文献&引用
#1 ドナルド・サル、キャスリーン・アイゼンハート著 戸塚隆将 監訳『SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える』三笠書房、2017年。
#2 Nelson Cowan,”The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity“,The Behavioral and brain sciences,2001,volume.24 1,pages 87-114.