赤羽(Akabane)
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「たんぱく質は一回で20gまでしか吸収されないぞ」という俗説
この説は、簡単に言うとたんぱく質の摂取量は一食につき20gまで!それ以上とっても吸収されないし、下回ったらそもそも意味がなくなるよ!というものです。
一応この説には裏付けもあって、例えば2013年の研究(#1)では24名の男性トレイニーを対象に次のような比較実験を行いました。
- ホエイプロテイン10gを8回、1時間半ごとに摂取
- ホエイプロテイン20gを4回、3時間ごとに摂取
- ホエイプロテイン40gを2回、6時間ごとに摂取
そしてトレイニーたちは脚トレ(レッグエクステンション)を複数セットでやった後、12時間以内でプロテインを各々のタイミングで摂取。すると、20g×4回グループで最も筋合成率が高かった!という結果が得られたんですね。
要は、一回10gみたいに少なすぎても、40gみたいに多すぎてもダメで、20gくらいが丁度いいんだ、と。少なくともこの結果からはそう読み取れそうです。
科学的プロテイン摂取のすゝめ
ここまでの内容を踏まえると「たんぱく質20gまで説」は割と信憑性がありそうですが、一旦最新の研究を見てみましょう。
2018年にリーマン大学、カリフォルニア州立大学の教授らが発表したレビュー研究(#2)では、過去の研究を集めてレビュー&現時点での答えをまとめてくれております。
冒頭で紹介した研究にも触れられてましたが、これについてこんな指摘もありました。
しかしこの研究(#1)では、一日にたった80gのプロテインしか摂取しておらず、この量は十分な筋合成を起こすには少なすぎる。[筆者訳]
確かに、筋トレ経験者の男性が摂るにはちょっと物足りない量です。そしてこの他にも、そもそも今回のテーマには、
- たんぱく質の源が何か?(肉かプロテインパウダーか、魚かとか)
- 消化されるプロテインの量
- エクササイズの習慣
- その他個人の差(年齢、トレーニング歴、筋肉量)
このような問題点があるように思います。要は、個人差が出やすい上に状況によって反応は変わるから、一概に「○○gまで吸収される!」とは言い切れないんですね。だから現時点で出せるのはせいぜい大まかな目安のみじゃない?と。
でこの研究では、当ブログでも過去に記事にした「【2018年最新研究】筋トレの効果を最大化するホエイプロテインの「ベストな摂取量」とは?」で参考にしたメタ分析の結果にプラスして、2015年の大規模なレビュー研究(#3)も追加、そしてプロテイン摂取量の最適解を割り出してくれていました。
これまでの研究をまとめると、筋肉をつけたいのなら、一食当たり0.4g/kgのたんぱく質を4回に分けて摂るのが比較的シンプルで洗練されたソリューションであると言えよう。効果が出る最大の量ならば、一食当たり0.55g/kgのたんぱく質を摂ることだ。[筆者訳]
つまり、一日当たりで言うと1.6g/kgくらい、ハードなトレーニングを積んでいる方であれば2.2g/kg辺りのラインが当面の最適解なわけです。例えば、体重60kgの方なら一日96~132gのたんぱく質を4回程に分けて摂るといった感じ。意識しないと案外難しそうですね~。
ちなみに当サイトで推している鯖缶なら、一缶で大体18~30g程のたんぱく質が手軽に摂れるので、4回のうち1回を鯖缶にするのは大アリかと。
赤羽(Akabane)
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#1 Areta JL, Burke LM, Ross ML, Camera DM, West DW, Broad EM, Jeacocke NA, Moore DR, Stellingwerff T, Phillips SM, Hawley JA, Coffey VG. “Timing and distribution of protein ingestion during prolonged recovery from resistance exercise alters myofibrillar protein synthesis.” J Physiol. 2013;591(Pt 9):2319–31.
#2 Brad Jon Schoenfeld,Alan Albert Aragon,”How much protein can the body use in a single meal for muscle-building? Implications for daily protein distribution“,Journal of the International Society of Sports Nutrition201815:10.
#3 Morton RW, McGlory C, Phillips SM.,”Nutritional interventions to augment resistance training-induced skeletal muscle hypertrophy.“,Front Physiol. 2015;6:245.