赤羽(Akabane)
目次
マインドフルネスに欠かせない「あの要素」がストレスやネガティブ感情の軽減に役立つみたい
早速ですが、参考になるのが2018年にトロント大学が発表した研究(#1)で、マインドフルネスの「受容」の精神って日々のストレスとネガティブ感情軽減に大事!という結論でした。
3つの実験で「受容」の精神とストレスやメンタルの健康の関係を調べた
この研究は、計1331名を対象に3つの実験を行ったもので、それぞれでマインドフルネスの「受容」レベルがどの位か?をアンケート調査で調べて、ストレス反応や普段のメンタルヘルス、うつ症状スコアなどとの関わりを調べていました。
3つの実験のうち、ラボの実験では参加者にストレスを与えるタスクとして3分間のスピーチテストをやってもらって、長期の観察研究では一日の終わりにその日のストレスを記録してもらっていました。
ちなみに「受容の精神」とは、自分自身や感情、気持ちの変化に対して良い/悪いといった判断を下さず、ただ受け容れること。調査方法は、「the Five-Facet Mindfulness Questionnaire(FFMQ)(#2)」の項目を使って調べたようで、割とメジャーなテストなので受容レベルを調べるには良い方法かと思います。(試してみたい方は記事最後のリンクからどうぞ)
でザックリ全体の結果を見てみると、
- 受容レベルが高い人はメンタルの健康度が高い傾向にあった
- 受容レベルが高いとストレスに対するネガティブ感情が減った
- ストレスに対するポジティブ感情には変化なかった
こんな結果になっていました。しかも他のマインドフルネスの重要なポイント「観察」「感情の描写」「自身の行動への意識」の影響もしっかり考慮した上での結果みたい。
注意点・まとめ
ただ、今回の結果だけでは科学的な根拠としてはちょっと心もとないですね。RCT(信頼性の高い実験デザイン)ではないですし、一日の終わりにストレスを記録するというのも、時間差の問題があって方法としては微妙なところ。
一応近年では「モニター&受容仮説(Monitor and Acceptance Theory)(#3)」といって、マインドフルネスが効果を発揮するのは「受容」と「観察」が揃った時だ!なんて主張もあったりしますが。
以上も踏まえて最後に内容をまとめます。
- マインドフルネスの重要な要素「受容」は自分自身や感情、気持ちの変化に対して良い/悪いといった判断を下さず、ただ受け容れる精神
- 「受容」の精神はネガティブ感情やストレスを軽減させた
- 「受容」レベルが高い人は日頃のメンタルヘルスも安定しているかも
こんな感じでしょうか。「受容」だけでどのくらい効果があるかはさておき、マインドフルネス自体がメンタル安定に高い効果をもたらすのは間違いなさそうなんで、積極的に鍛えていくとよろしいかと思います。
赤羽(Akabane)
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#1 Ford BQ, Lam P,John OP, Mauss IB. The psychological health benefits of accepting negative emotions and thoughts: Laboratory, diary, and longitudinal evidence. J Pers Soc Psychol. 2018 Dec;115(6):1075-1092.
#2 American Mindfulness Research Association. The Five Facet Mindfulness Questionnaire. accessed on 18th July 2019.
#3 Lindsay EK, Creswell JD. Mindfulness, acceptance, and emotion regulation: perspectives from Monitor and Acceptance Theory (MAT).. Curr Opin Psychol. 2018 Dec 13;28:120-125.