メタ分析: 新型コロナウイルス(COVID-19)に感染すると危険な人の特徴とは？

赤羽(Akabane)

今回は「新型コロナに感染すると危険な人って？」というお話です。

メタ分析: 新型コロナウイルス(COVID-19)に感染すると危険な人の特徴とは？

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基礎疾患…様々な疾患の根本の原因、大本になっている疾患を指す。高血圧や糖尿病、循環器疾患、慢性腎疾患、慢性肝疾患、慢性呼吸器疾患など

新型コロナウイルス(COVID-19)については、基礎疾患持ちは特に重篤化の危険性があると言われていて、度々メディアでも報道されている内容ではあります。

世界保健機関(WHO)が2020年2月下旬に発表した声明(#1)でも、基礎疾患持ちは軒並みCOVID-19感染によって死亡するリスクが高いという報告があります。

しかしこうした主張は、十分なデータによって裏付けられたものではありませんでした。これは、COVID-19の感染拡大が始まって間もなかったことを踏まえると、仕方のないことです。

というわけで、この記事では上記テーマについて、最近発表されたまとまった見解を見ていきます。

COVID-19に感染すると重症化の危険性が高い人の特徴を解析したメタ分析

2020年4月8日に濰坊医学院が発表したメタ分析(#2)によると、COPDをはじめとする基礎疾患持ちがCOVID-19に感染すると、重症化リスクがかなり高まることが分かりました。

この研究では、質の高い6件の厳選された研究から、COVID-19感染患者1,558名分(うち324名が重症患者)のデータを集めて、様々な基礎疾患持ちの患者がCOVID-19に感染した場合の重症化リスクを分析していました。

6件全てが対象に含む…高血圧、糖尿病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)
5件が対象に含む…肝疾患
4件が対象に含む…悪性腫瘍、腎疾患、循環器疾患
3件が対象に含む…脳血管疾患

症状の進行や重症化の基準としては、うち2件は「ICU(集中治療室)へ搬送されたかどうか？」を採用していて、残り4件は「症状を軽症、中等症、重症に分類する際の基準」で判断していたようです。

そして上記の解析の結果、COVID-19の重症化リスクと各基礎疾患には、以下のような相関が認められたようです。

結果

高血圧(オッズ比: 2.29, P＜0.001)
糖尿病(オッズ比: 2.47, P＜0.001)
COPD(オッズ比: 5.97, P＜0.001)
循環器疾患(オッズ比: 2.93, P＜0.001)
脳血管疾患(オッズ比:3.89, P=0.002)

まとめると、最近メディアで取りざたされている基礎疾患は、どれもCOVID-19の重症化リスクと強い相関が見られたんですね。中でもCOPDの危険性は頭一つ飛び抜けていて、この辺りも、一般的な認識と同様の結果が改めて実証されました。

一方で、今回の解析結果によると、肝疾患、腎疾患、悪性腫瘍などの基礎疾患は、COVID-19の症状の進行とは関連は見られなかったようです。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意

一部実証研究数が少ない：脳血管疾患は3件しか含まれておらず、データの精度が低い
患者には一部様々な基礎疾患を併発している人もいた：各基礎疾患は一つずつ解析していたため、こういった複雑な特例ケースがリスクの数値に影響を与えているかもしれない
重症化の判断基準は研究間で統一されていない：結果に影響を及ぼす大事な部分なので、今後は基準を統一した研究が望まれる

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント

兼ねてから、基礎疾患持ちが新型コロナウイルス(COVID-19)に感染すると重症化の危険性が高まると言われていた
今回のメタ分析によると、高血圧や糖尿病、循環器疾患、脳血管疾患、そして特にCOPD患者は重症化の危険性が高いことが判明した
一方で、肝疾患、腎疾患、悪性腫瘍などの基礎疾患は、COVID-19の症状の進行とは関連は見られなかった

赤羽(Akabane)

どうやら、基礎疾患とCOVID-19の重症化リスクに関しては世間一般の認識で間違いなさそうです。今回の研究では、比較的質の高い研究をまとめて、具体的にどのくらいの危険性があるのか？をオッズ比で分かり易く示してくれた点が他の研究データより優れています。上記のような基礎疾患のリスク因子になる生活習慣は、この機会に改善しておいた方がよろしいかと思います。