赤羽(Akabane)
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朝&昼ご飯をガッツリ食べて午後から夜通し断食!で体が若返る?
まず本題の前に「プチ断食とは?」という点、これは断食のゆるいバージョンみたいなもので、大抵は24時間以内に収まります。
そしてプチ断食には色々と種類があって、
- 日替わり断食…一週間のうちに“断食日”と“食べる日”を決めて交互に繰り返す方法。
- 5:2ダイエット…週に5日は好きに食べてよい日とし、残り2日は“断食日”とする方法。
- タイムフレーム断食…一日の中で“断食時間”と“好きに食べてよい時間”を決める方法。リーンゲインズなどが挙げられる。
ザっと以上のラインナップです。どれを選ぶかで微妙に効果は違うんですが、ここは続けやすいモノを選ぶといいと思います。
ではこれを踏まえて、この記事ではタイムフレームワーク式のプチ断食から最近報告され始めているニュータイプを見ていきます。
「朝型プチ断食」であらゆるアンチエイジング効果が見込める!
参考になるのが2019年にアラバマ大学 – バーミンガムが発表したRCT(#1)。実験では11名の太り気味な男女(平均32 ± 7歳)を対象に、次の2つのグループに分けてまず4日間過ごしてもらいました。
- 朝型プチ断食グループ..午前8時~午後2時までの6時間を食事タイム、残りの18時間を断食で過ごす(朝:午前8時、昼:午前11時、夜:午後2時)
- 通常食グループ..午前8時から午後8時までの12時間を食事タイムで過ごす(朝:午前8時、昼:午後2時、夜:午後8時)
実験中は前半2日間で各自の好きな食事を、後半の2日間で研究チームが用意したモノを食べてもらったようです。
この間血糖値は一日中ずっと計測し続けて、遺伝子や代謝系のマーカーも数日だけ朝晩で測ってグループ間の差を見たんですね。
でこの試験はクロスオーバーというデザインなので、4日間経過後に3.5~5週間のウォッシュアウト期間(前の実験の影響を無くす期間)をおいてグループを入れ替え、今度は違うグループで過ごしてもらうという流れです。
ではまず血糖値についての結果から見ていきます。
- 朝型プチ断食で24時間の平均血糖値が下がった
- 特に睡眠時の血糖値はかなり下がった
- 食後の血糖値上昇も緩やかになった
- 空腹時血糖値やインスリンも減少して、HOMA-IR(糖代謝&インスリン値の指標)も改善
どうやら朝型プチ断食で一日通して血糖値が下がって、しかも食後の血糖値スパイクもかなり抑えられるみたい。一方で通常食だと、寝ている間の血糖値もずっと高いままでした。
では次にその他の結果も見てみましょう。
- 善玉(HDL)と悪玉(LDL)、総コレステロール値が増加
- HDL/LDL比には影響なし
- 朝のケトン体レベルも上昇(脂肪が燃えやすい状態)
- コルチゾール(ストレスホルモン)は朝高まって夜低下
- 睡眠リズムやオートファジー、寿命に関わる遺伝子が軒並み増加
LDLが増えている点が気になると思いますが、ここは同時にHDLも増えていて、結果として比率も変わっていません。なので特に心疾患のリスクに影響もない(#2)かと思われます。
ちなみにオートファジーは「自食作用」と呼ばれていて、細胞内に溜まったたんぱく質などのゴミを細胞が自分で掃除してくれる機能のこと。兼ねてからプチ断食で活性化する!と言われていて、今回それが改めて裏付けられた、と。
注意点・まとめ
ただ今回は太り気味の人のみ対象なので、これがもっと太っている肥満体型の人や普通体型の人にも言えることなのか?は今後も調査が必要かと思います。
ということで最後に今回の内容をまとめます。
- 朝8時~昼2時までで食事を済ませて夜通し断食する「朝型プチ断食」
- あらゆる慢性病予防に効いて美容・アンチエイジングにも効果があるかもしれない
- ついでに睡眠リズムまで整えてくれるかもしれない
この辺りを押さえておくとよろしいかと思います。オートファジーやケトン体を調べてる研究はまだ全然なくて、今回はこの辺りがしっかり確認できた点がかなり大きいです。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Humaira Jamshed, Robbie A. Beyl , Deborah L. Della Manna , Eddy S. Yang , Eric Ravussin and Courtney M. Peterson, Early Time-Restricted Feeding Improves 24-Hour Glucose Levels and Affects Markers of the Circadian Clock, Aging, and Autophagy in Humans. Nutrients 2019, 11(6), 1234.
#2 Millán J, Pintó X, Muñoz A, Zúñiga M, Rubiés-Prat J, Pallardo LF, Masana L, Mangas A, Hernández-Mijares A, González-Santos P, Ascaso JF, Pedro-Botet J,”Lipoprotein ratios: Physiological significance and clinical usefulness in cardiovascular prevention.“,Vasc Health Risk Manag. 2009;5:757-65.