赤羽(Akabane)
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菜食主義(ベジタリアン)は高血圧の改善にどこまで効果的なのか?
ベジタリアンといえば、古くから健康とされている食事スタイルですね。お肉など動物性食品を減らしつつ、野菜を中心に食事を摂る食事であります。
というわけで、この記事では、ベジタリアンで血圧の改善にはどのくらい効き目があるのか?というデータを見ていきます。
ベジタリアンの降圧効果をあらゆる比較で検証した系統的レビュー&メタ分析
2020年にマレーシアプトラ大学が発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、ベジタリアンは総じて降圧効果があることがわかり、中でもビーガンダイエットで高い効果が見込めるようです。
この研究は、15件のRCTから856名分のデータを対象にしていて、それぞれの実験では以下のようなグループに分けて効果を比較していました。
- ベジタリアン…ラクト・オボ・ベジタリアン(5件)、ビーガンダイエット(10件)
- 通常食…肉などもガンガン食べる食事
*ラクトオボベジタリアン…肉は食べないが、卵や乳製品は食べて良いベジタリアン。
*ビーガンダイエット…完全菜食で、肉や卵、乳製品は一切食べない
*実験期間は3〜74週間
そして上記の分析の結果、以下のようなことが分かりました。
- ベジタリアンは総じて通常食よりも降圧効果が高かった(収縮期: −2.66 mmHg, 95% CI = −3.76, −1.55, p < 0.001; 拡張期: -1.69 mmHg, 95% CI = −2.97, −0.41, p < 0.001)
- ビーガンダイエットの方が、ラクト・オボ・ベジタリアンよりも収縮期血圧の降圧効果が高かった(ビーガン収縮期: -3.12 mmHg, 95% CI = −4.54, −1.70, p < 0.001; ラクト・オボ拡張期: -1.75 mmHg, 95% CI −5.38, 1.88, p = 0.05)
まとめると、ベジタリアンは全体的に降圧効果アリ!で中でも厳しい部類にあたるビーガンダイエットで特に高い効果が確認されました。
ベジタリアンで降圧効果が起こるメカニズムとしては、主に、肉食と違って飽和脂肪が少なかったり、反対に食物繊維や不飽和脂肪酸(オメガ3、6とか)、植物ポリフェノールなど血圧を下げる栄養・成分が豊富な点が挙げられます。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくとよろしいかと。
- 結果にバラツキが見られる: 含まれた実験によっては、飲酒や喫煙、塩分など生活習慣の制限つきの場合もあったりして、この辺りが結果に差を生んでいる可能性が高い
- 実験が行われた地域に偏りがある: 大半がアメリカの実験で、他もオーストラリアやニュージーランドなどが主で、アジア圏など食文化が異なる地域でどこまで適用できるかは分からない
- サンプルサイズがやや小さい: 統計的なパワーを出すには、今回は1000名以上必要だったが足りていない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 菜食主義(ベジタリアン)は、野菜中心の食事スタイルで、動物性食品を一切食べないビーガンから、卵・乳製品は食べても良いラクト・オボまで、スペクトラム的に広義の食事法を含む
- 今回のメタ分析によると、ベジタリアンは総合的に肉食を含む食生活と比較して、上下の血圧を改善する効果が確認された
- ベジタリアンの中身で比較すると、より動物性食品を排除するビーガンで最も高い降圧効果が確認された
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Lee, K.W.; Loh, H.C.; Ching, S.M.; Devaraj, N.K.; Hoo, F.K. Effects of Vegetarian Diets on Blood Pressure Lowering: A Systematic Review with Meta-Analysis and Trial Sequential Analysis. Nutrients 2020, 12, 1604.