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茶カテキンの主成分「EGCG」はあまり吸収されない
緑茶と言えば「カテキン」ですが、この主成分となるのがEGCG(エピガロガテキンガレート)という物質で、強い抗酸化力を持っています。がしかし、このEGCGは体内であまり吸収されないのです。
どのくらい吸収されにくいのか、緑茶に関する論文研究(#1)を引用すると、
抗がん作用をもたらすのに必要なEGCG濃度は1µM以上であるのに対し、2~3杯の緑茶を飲んだ後の血中EGCG濃度はせいぜい0.1–0.6 µM程度である。これは、緑茶を7~9杯飲んでも抗がん効果をもたらす基準値に満たないということになる。
こんな感じです。かなり吸収率が悪いのが分かるかと思います。
緑茶のカテキン類の吸収率を上げてくれる、セットで取るべき栄養素とは?
ということで調べていると、有名なあの栄養とセットで摂るといいかもしれないということが分かりました。
茶カテキンの主成分、EGCGの吸収に大きく関わるという物質「緑茶カテキン受容体67LR」というものが存在するという話は前回「緑茶の茶カテキンで頭が良くなるかも!」の記事の最後に少し触れました。この物質が増えるとより多くEGCGと結合されて吸収が良くなるのですね。
で九州大学が発表したマウス研究(#1)によると、ビタミンAの派生物「ATRA(トレチノイン)」とEGCGをセットで摂ることで緑茶カテキン受容体67LRが増えてEGCGと多く結合したことが分かりました。例えばこのデータ。
この図は、EGCG(5µM)をマウスに注入してからATRAを摂取するorしない、で緑茶カテキン受容体67LRとEGCGの結合率を示しています。
明らかにEGCG+ATRAで緑茶カテキン受容体の結合率アップが見られますね。他にも、抗腫瘍効果が見られ、EGCG+ATRAで顕著に効果が出ています。詳しくは研究チームの一員である立花教授の研究(#2)をチェックしてみて下さい。
結果として、ビタミンAがEGCGの吸収を助けるかもしれない可能性が出てきました。EGCGをはじめ、茶カテキンには「脂肪燃焼効果があるぞ!」「高血圧が改善された」「循環器系の疾患リスクが下がった」という素晴らしい健康効果があります。つまりEGCGが効率よく吸収される方法がわかれば、ヒトの健康に多大な貢献をしてくれる可能性が高い、と。
しかしマウス実験なのでヒトにも当てはまるかはわからず、あくまでビタミンAの派生物のみでの検査だったのでまだ可能性の段階です。
赤羽(Akabane)
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#1 Lee JH, Kishikawa M, Kumazoe M, Yamada K, Tachibana H.”Vitamin A enhances antitumor effect of a green tea polyphenol on melanoma by upregulating the polyphenol sensing molecule 67-kDa laminin receptor.“,PLOS ONE,Vol.5,No.6,2010.
#2 立花 宏文『緑茶カテキン受容体 67LR を介したカテキンの機能性発現機構』日薬理誌、132巻、pp145~149、2008年。