謙虚すぎる人が陥りがちな『インポスター症候群』の恐怖。

2019年5月7日人間心理

無能な人が自分を過大評価する「ダニング・クルーガー効果」なんてありましたが..

ダニング・クルーガー効果

ダニング・クルーガー効果という心理学用語があります。これは簡単に言うと、能力がない人ほど自分を過大評価する傾向にある!という現象のこと。ちなみにこの現象は学校のテストからお笑いのセンスまで、幅広く確認されたみたい。
 
 
詳しくは以下リンクで紹介しておりますので、気になった方はザっとご覧いただければと思います。

自分の成功は全部運のおかげ?「インポスター症候群」

インポスター症候群

といったところで、今回はその逆の“能力はあっても何故か謙遜しまくってしまう”現象について書いていきます。これは1978年の研究(#1)を発端に広まった現象でして、「インポスター症候群」と呼ばれるもの。ザックリとどんなものかというと、
 

  • 周りは自分を過大評価しすぎだと思う
  • 自分の本当の実力がいずれ周りにバレるんじゃないかと恐れている
  • 何かで成功しても外部の要素(運とか)のおかげだと思い込んでしまう

 
このような傾向。つまり成功したり上手くいくと、かえって周りが思う“自分”はフェイクなんだと思ってしまうんですね。これら3つに当てはまるという方は、もしかするとインポスター症候群かもしれません。
 
 
そしてここで反論として挙がるのが「フェイクだと思い込んでるんじゃなくて、実際にその通りなんだよ」という主張。これに関しては、例えば2005年にマドンナ大学が発表した研究(#2)が参考になります。概要をまとめると以下の通り。
 

  • 95名の高校生(15~18歳)とその保護者/両親を対象にアンケート調査を行う
  • 中身は自己効力感、インポスター症候群度、統制の所在を調べるもの
  • 年齢と父親の学歴を調整して最終結果を抽出

 
統制の所在とは、簡単に言うと物事の原因や評価を内的か外的要素のどちらに見だすか?という意味ですね。例えば内的要素に求めがちな人は、失敗しても「それは自分にも原因があるよね」と認められます。一方で外的要因に依存する場合は、良くも悪くも“他人のせい”や“周りの環境のせい”にしがち。
 
 
すると結果はと言いますと、

 

  • 自己効力感が低い+外的要因に依存タイプはインポスター症候群傾向に
  • インポスター症候群傾向+内的要因に依存タイプは学業成績が高い傾向に

 

こうなりました。自分の能力に対して自身がなく、評価や成功も周りの環境によって決まると考えている学生はインポスター傾向に。そして、インポスター傾向が強くて評価が自分に依存するタイプは学業成績が高い傾向が。一言で表すなら“謙虚でストイック”なタイプですね。
 
 
つまり「自分は本当に実力がないからそう言ってるだけだ!」という主張は必ずしも正しいとは限らないんですね。この辺り「本当に自分は能力があるの?」という判断は自分を客観視する『メタ認知力』を鍛えて様子をみる他なさそう。

インポスター症候群に陥りがちな人とは?

最後に「インポスター症候群」に陥りがちな性格を共有して一旦締めくくりです。これに関して、2016年にドイツ、フランクフルト大学教授らが発表した研究(#3)によると、企業の経営者などリーダーの立場にある242名を調査した結果次のようなことがわかったんですね。

インポスター症候群傾向の特徴
  • 完璧主義
  • 不安症傾向
  • 不機嫌で感情が不安定
  • 低い自己評価

 
この辺りの性格は、総じてビッグ5性格診断でいう「神経症性」に繋がるんではないでしょうか。ちなみにインポスター症候群傾向が高かったリーダーは、完璧主義であると同時に先延ばし傾向もあったのだとか。つまり“追い求める理想像”と“現実のダメな自分”のギャップに打ちのめされてしまうんですね。

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赤羽(Akabane)

結論、インポスター症候群はメンタルにあまりよろしくないので、「何事も中庸が一番!」に落ち着きそうです。解決策としてはセルフモニタリングの力「メタ認知」を鍛えるのが得策かと。自己嫌悪に陥りやすいけど理想は高い、なんて方は注意が必要ですね。

今後の参考までに

参考文献&引用

#1 Clance, P. R., & Imes, S. A. (1978). “The imposter phenomenon in high achieving women: Dynamics and therapeutic intervention. Psychotherapy: Theory“, Research & Practice, 15(3), 241-247.

#2 RACHAEL PARKER,LINDA BRESETTE,JIM O’NEILL,MARY SCAPINO,AMANDA WALSH,KATELYN WALTERS,
EDIE WOODS,”Self-Esteem, Locus of Control, the Imposter Phenomenon, and Academic Achievement in High School Students“,The National Honor Society in Psychology (Vol. 10, No. 3, 115–120.

#3 Rohrmann S, Bechtoldt MN, Leonhardt M,”Validation of the Impostor Phenomenon among Managers.“,Front Psychol. 2016 Jun 2;7:821.