HIIT(高強度インターバルトレーニング)は若いアスリートにどんな効果があるのか?

HIIT(高強度インターバルトレーニング)は若いアスリートにどんな効果があるのか?

赤羽(Akabane)

今回は「若いアスリートにHIITって効果的なの?」というお話です。

HIIT(高強度インターバルトレーニング)は若いアスリートにどんな効果があるのか?

HIITとは「High Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)」の略で、短時間に息の上がるような運動とインターバルを交互に繰り返す運動を指します。

当サイトでも、HIITは時短で効率よくできるし、他の有酸素運動や筋トレなんかと比べても、引けを取らないメリットがあるという話をしています。

そこでこの記事では、HIITって現役のアスリートのパフォーマンスアップにはどこまで役に立つの?というデータを見ていきます。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)は筋トレと比べて効果にどんな違いがあるのか?高強度インターバルトレーニング(HIIT)は筋トレと比べて効果にどんな違いがあるのか?

若いアスリートを対象にしたHIIT実験をまとめた系統的レビュー&メタ分析の結果..

2020年にルプレヒト・カール大学ハイデルベルクが発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、HIITは若いアスリートのパフォーマンスも有酸素&無酸素の両面から高めてくれることが分かりました。

この研究は、24件の研究から577名の若いアスリート(平均15.5歳)を対象に、HIITによる以下の項目への効果を検証した実験をまとめたものです。

  • 最大酸素摂取量(VO2MAX)
  • 反復スプリント
  • ランニングテスト
  • 最大以下心拍数
  • ジャンプテスト
  • 血中乳酸濃度
  • 方向転換テスト

対象になったアスリートには、大半がサッカー選手が含まれていて、他にはハンドボールやバスケ、クロスカントリースキー、テニス、ラグビーなどがありました。実験期間は平均7.5週間で、週あたり2.5回のHIITプログラムを、1回あたり平均28分くらいでこなしていた様子。

そして上記の項目に対するHIITの効果を、比較対象(中強度の運動、競技のミニゲームをやる場合など)と比べて分析したところ、以下のような結果が得られたようです。

結果
  • HIITは比較対象と比べて、特にVO2MAXを有意に高めるということはなかったが、実験前後のアップ率で見るとHIITで高い効果があった(7.2 ± 6.9% vs. 4.3 ± 6.9%)
  • その他では、ランニングの速度や様々な疲労度での酸素摂取量、スプリントのパフォーマンスなどでHIITに高い効果があった
  • 方向転換テストやピーク時の血中乳酸濃度については、HIITで低下する効果があった(血中乳酸濃度は僅かな差)

まとめると、HIITで一部、アスリートたちの運動パフォーマンスが高まる効果が確認されたんですね。同時に、大きな差が見られなかったり、逆にパフォーマンスが低下してしまった項目も若干ありましたが、この辺りについては詳しいことは分かっていません。(如何せん、実験の内容がバラバラなので)

また、HIITは比較対象の運動に引けを取らない結果でありながら、1回のセッション当たりにかかる時間も平均で10分近く短縮できることも分かりました。(28 ± 15分 vs. 38 ± 24分) その分、1分当たりのキツさは濃密ですが、効率よくサクッと運動したい方にはピッタリです。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • サッカー選手以外のアスリートを対象にした研究数が少ない: サッカーが24件中15件を占めていて、他のスポーツのアスリートを対象にした実験が少ない
  • HIITのメニューは実験毎にバラバラ: 今回の結果から、アスリートにとって最適なHIITメニューなどは分からない
  • 女性アスリートを対象にした研究はほとんどなかった: 女性を対象にした実験は24件中1件のみで、アスリートに絞るとなるとかなり検証数が少ないことがわかる

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 短時間で高強度の運動と短いインターバルを交互に繰り返す運動様式「HIIT(High Intensity Interval Training)」
  • 今回のアスリートのみを対象にした分析の結果、HIITは酸素を効率よく取り入れたり走り込みのパフォーマンスを高めたりするのにより効果的であることが分かった
  • 具体的にどんなメニューだと効果的なのか?といった詳しい部分については、まだよくわかっていない

赤羽(Akabane)

HIITは、他の運動と比べて目を見張る程優れた効果があるわけではないですが、短時間で集中してできるという点では効率的かと思います。アスリートでもある程度の効果が実証されましたし、競技のパフォーマンスを高める狙いで行うのもアリでしょう。

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参考文献&引用

#1 Engel FA, Ackermann A, Chtourou H, Sperlich B. High-Intensity Interval Training Performed by Young Athletes: A Systematic Review and Meta-Analysis. Front Physiol. 2018;9:1012. Published 2018 Jul 27. doi:10.3389/fphys.2018.01012.